第42話 ピンチ 2

「康輔大丈夫かしら....」

私、水月鏡花は少し不安だった。

先ほど、能力祭の中継?が切れたのだ。

切れる前まででは、康輔が負けそうだった。

そんな中、能力祭の会場で何かが起こったというのはわかる。

そんなことを思っていたら、外からものすごい音が聞こえてきた。

まるで何かが落ちてきたような、そんな音。

窓を見ると、そこには———


私は一目散に、それでも静かに階段を降りていた。



同時刻の康輔視点

「ここは.....っ!」

そう、ここは水月邸。つまりは鏡花の屋敷だ。

「まずい....」

リンたちとは違い、鏡花は家にいるはずだ。

そう考えるとこの場に止まるのは危険だ。

「移動しねぇと....」

"自然治癒ヒール"をかけ、すぐにこの場から離れようとするが、

「何でっ.....⁉︎」

足が動かない。足が石になったかのようだ。

早くしないとUが来てしまうのに.....。

康輔は、なんとか足を動かそうとするが、1ミリも動かない。

"自然治癒"をかけてもそれは一向に改善しない。

そしてそんな努力も虚しく、奴が来てしまった。

「結構飛んだな」

康輔は動揺を隠す。

ポーカフェイス....ポーカーフェイス.....

ここに鏡花がいることを悟られないようにする。しかし、そんなものは必要なかった。

「んな小細工しなくてもいいぞ。ここに水月鏡花がいることはわかっているんだ」

まさか、ここに飛ばしたのもわざとか....?

「当初の予定だったらな、お前が予想以上に強いとBが報告してきたもんだから、精神的に殺そうと思ったが......この様子じゃそんなことをする必要もないな」

「....っ」

要は俺をこいつは殺せるってわけか。

そんな最中に、

「こう...す..け?」

屋敷の入り口から鏡花が顔を出す。

「出てくんな!!!」

康輔はそう鏡花に叫ぶ。出てきたら殺されるかもしれない。康輔でさえ、致命傷になるかもしれない威力だ。鏡花が食らったら死は免れない。

康輔が叫んだことで鏡花は少しビクッとしたあと、扉を閉めた。

これでいい。これでいいんだ。

しかし、まだ問題が解決したわけではない。なんとかしてこいつを退けないと。

「.........」

なぜか男は閉まった屋敷の扉を見ていた。そして、なぜだか殺気が強くなった。

そして急に消えた。そしてその瞬間、死の予感がした。

生が康輔の体を支配し、"気づけぬ幻影ファントム"で奴の攻撃を避けていた。

奴は奴の持っている剣でも一文字斬りだった。

間違いなく、"気づけぬ幻影ファントム"を使っていなかったら、首を刎ねられていた。持ちたくはないが、自信をもって言える。

......そして、足は動けるようになっていた。

そこからは防戦一方だった。

何回も、"気づけぬ幻影ファントム"を使い、奴の攻撃を避けていた。もはや、"気づけぬ幻影ファントム"を使わなければ、避けられないほど、奴の能力は上がっていた。

だが、康輔は攻撃をしていなかったわけではない。"気づけぬ幻影ファントム"を使いながら、"落雷ライトニング"、"氷の矛アイシクル"、"空気の矢エセリアル・アロー"を使いながら戦っている。

それを避けながら奴は攻撃してくる。さらに、当たったところでそこまでダメージになっていない。なんとかしてダメージを入れなければ、だんだんできることが少なくなってきてしまう。魔力量がだんだんなくなってきているからだ。

そして、疲れによる動きの鈍さが次第に増していく。Uも"気づけぬ幻影ファントム"に慣れてきたのか、攻撃の速度がだんだん早くなってきている。

そして、Uの突きが康輔の心臓に———

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