第41話 Uの能力
康輔の魔力量は残り半分になっていた。
「まぁ、この状態じゃ倒せねぇか。Bを倒したのも伊達じゃないってわけか」
そう聞こえた方向にはUがいた。
「......あんたもすげぇよ。———身体強化系でここまでできるだなんてよ」
そう。この男、Uは身体強化系の能力者だった。
「流石に見抜かれてるか」
「当たり前だろ。確かに身体強化系の中でも、最も強い全身体能力を上げる能力者だが、それにしても強すぎなんだよ、あんた」
康輔がUが身体強化系の能力者だとわかった理由は2つ。
1、体を使った攻撃しかしてきていないこと。剣は、手を使っているから体を使った攻撃に当てはまる。同じ理由で空気の斬撃もだ。
2、身体能力が爆発的に増加していること
2に関しては、最初の方は懐疑的だった。理由は能力者の補助として、身体能力が上がるからだ。だから、あれほどの身体能力は補助かと思っていた。しかし、爆発的に身体能力が上がるのは、身体強化系しかいない。
<教えて!桜田先生!> 〜補助身体強化について〜
はいはーい。桜田先生だよー。
Q 先生は頭悪...補助身体強化って常時発動なの?
Aなんかエグいものがあったような気がするけど、常時発動じゃないよ。基本的には、補助身体強化は念じたりすることによって、身体強化がなされるよ。けどほとんどの能力者は防御力といった体の丈夫さと、足の速さといったものを常時発動させているよ。腕力といった、日常生活で不便になってしまうものは、戦う時などだけに発動しているんだ。身体強化系は補助と能力を分けて使っているらしいけど....その分けて使う感覚は、身体強化系にしかわからないんだよねぇ....。自分は身体強化系の能力者に簡単だろ。っていったらぶん殴られました。あははは......
<終わり>
という2つの理由からUが身体強化系の能力者であることを突き止め、さらに全身体能力が上がっている(例えば、筋力だけでなく足の速さや体の硬さなど)ことで、身体強化系能力者の中で一番強いと言われている全身体強化系だということを突き止めた。このような凄まじい観察眼や思考力は、勉強というものから培われてきた力である。(観察眼は、論理的な思考から。思考力は日頃の勉強から)
しかし、わかったところで康輔には防ぐ術はない。そして、この感じからUはまだまだ力を隠しているだろう。この状態の俺はきっとUには勝てない。
なんとかしてUを退ける方法を考えなくては。
万全の状況で戦わなければ話にならない。
「帰ってくれねぇかな.....」
康輔はぼそっと呟く。
「わかったお前に、褒美をやろう」
そう言ったUは距離を詰めてくる。そして、一瞬のうちに目の前まで迫られていた。
「んな、褒美はいらねぇよ!」
体力も徐々に減ってきている中、吹っ飛ばされるのはできれば避けたい。
回し蹴りを康輔は繰り出した。しかし、Uはそれを難なくと避けた。
さっきよりも早くなりやがった.....。
康輔がそんなことを思ったのも無理はない。
先ほどまでギリギリ見えていたUの動きが完全に見えなくなったからだ。
そして防御のために魔法を使おうとした瞬間、胸部に激痛が走る。
それは1回目や2回目の時とは比べ物にならないほどの威力だった。
さらにギアをあげたってのかよ.......。
そう思いながら、康輔は吹っ飛ばされていく。
今回は斜めから殴られたのか、上の方に吹っ飛ばされていた。
そして、勢いが斜め上から、次第に下に変わっていく。
そして、数十秒後に地面に激突した。
「.......っ‼︎」
康輔は結構な距離まで飛ばされていた。
周りを見渡した康輔は、動揺を隠せなかった。
「..........ここは....っ!」
そこは———
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