第35話 リンの魔性

リンが戦うことになったのは、エントリーナンバー16の博燕高校だ。


相手は男...........はぁ。


「お二方、準備はいいですか?」

2人は手を上げた。

「おい氷華」

俺は氷華に声をかける。

「なに?」

「飲み物無くなったから買いに行くぞ」

「は?いやいや、リンさんの試合は?」


「それでは皆さん‼︎」


俺はその席を立つ。

「見る必要がねぇからよ」

「え?」

そう言った瞬間、周りが一斉にこちらを見る。

「残念だが、男である限り———」


「レディー.....」


「fight‼︎」

そう司会者が言ったのも束の間、司会者は間の抜けた声を漏らす。


「え....」


「———勝てねぇから」


そう俺は言った。

そして、案の定とばかりにリングを見る。

そこには、先ほどの男が———地に伏せていた。


「......しょ、勝者!極夜学園代表、リン!」

そして、少し間がしたあと歓声が響く。


「??????」

氷華は意味がわからない....という顔をしていた。

「まぁ、当然の結果だよな」



ー控え室にてー

「で?休憩時間になったから控え室に戻ってきたけど、あの力はなんなの⁉︎」

氷華に俺らは詰められていた。

「はぁ....一旦落ち着け。話すから」

俺はリンの方を見る。

「俺が話してもいいのか?」

「ええ」

許可が取れたところで、俺は話し始めた。


「リンは....っていうかサキュバスなどの一部の種族には特別な魔法と言ってもいい、魔性ませいと言うものを持っていてな」

魔性ませい?」

「ああ。種族ごとに生まれつき持っている、魔法のような力のことだ。例えるなら、ポ〇モンでいう特性みたいなものだ」

「あ〜」

「で、その魔性がリンを最強たらしめている理由の一つなんだ」

「ふーん。さっき、一瞬で対戦相手が倒れた理由ってわけね。一体どんな効果なの?」

「その魔性の名前は、『魔性乃支配者ファタール・ドミネーター』だ」

「『魔性乃支配者ファタール・ドミネーター』....?」

「ああ。この効果は単純だが、厄介この上ないほど凶悪なもの。それは、リン...いや、この魔性を持っているサキュバスを一度でもそういう目、もっというと性的な恋愛的な感情を一度でも持ってしまったらおしまいだ。自身の心身の自由の支配権...つまり身体、精神などの自由はこの魔性を持っている者の意思が優先になる。つまり、下心を一度でもリンに対して持った場合、その気になれば即死させることも可能。某死のノートでいえば、名前を知られた状態ってわけだ。生きるも死ぬも、そいつ次第」

「....チートじゃん」

「当然、サキュバスのリンに対して、下心を抱かない....というのは男であればほとんど不可能に等しい」

「まぁ、魔力を使えば抵抗して効かないんだけど....この世界には魔力の使い方....というか魔力自体、存在すら知られていないわ。まぁ、だから私にとって敵はほとんどいないのよ。まぁ女子にはほとんど効かないけど。それと康輔には全くもって効かないわ...」

「それは、抵抗が強い的な...?」

「それもあるけど、康輔が一度もそういう目で見てくれたことがないから.....」

「...そういえば、こうにぃってそういう感情が欠如してるって、萌音から聞いたっけ...」

そういう感情が欠如ってなんだよ。妹よ....もう少し言い方ってものを考えてくれよ......。


(日本語でも読むと、ましょうのしはいしゃとリンの魔性(ませい)はよみます)

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