第29話 個性
「こうにぃ、どこに行ってたの?」
家に帰ってくると、2時間前の萌音どこへ行ったのやらといった感じで、眠気を微塵も感じない萌音が朝食の手伝いをしていた。
「そうだぞ康輔。いくらお前が高校生だからって、あまり早い時間から遊びにくのはダメだぞ」
「父さん、違うって。俺は能力さいが近いから魔法の練習をしていただけだって」
俺は必死に弁明をした。
「てか、俺は遊びに行くなんていう性格じゃないことぐらい父さんも知っているはずだろ....」
「まぁ、そうなんだが。生き物というのはいつ心変わりをするのが解らない生き物だからなぁ...」
「そんな話をしている暇があったら、あなたも康輔も手伝ってちょうだい」
「「へいへい」」
父さんと俺は、全く同じ返事をしてしまった。
やはり、親子...ということなんだろうな。
「「あっはっはっはっは!」」
そして、それを聞いた母さんたちが笑い出した。
そんなに面白かったのだろうか。
「で?俺は何すりゃあ、いいの?」
「康輔は、皿を出してちょうだい。あなたは....テーブル拭いてちょうだい」
「「OK」」
またしても、同じ返事をしてしまった。
母さんたちがまたも、くすくすと笑っている。
しかも、今回は同じ高さで声質で言ってしまった。だから、なおのこと母さんたちは笑っている。
ちなみにリンは風呂に入っている。
いつもは付け入る隙がほとんどと言っていいほどないリンだが、家事をやらせると途端にドジっ子になってしまう。
この前は、今俺がやっている皿運び最中、転んで皿が全部割れるロいうことが起こった。風呂掃除をさせたら、風呂場のみならず、脱衣所までが泡まみれになる事件が起きた。なお、シャンプーなどのトイレタリーが全て空になっていることが事件の詳細を物語っていた。
料理をさせると当然の如く、ダークマター、毒薬が生まれた。
俺は1回食べたが、三途の川を渡りかけた....。
とまぁ....漫画のような出来事ばかりが起きていた。
.......まぁ、サキュバス自体が漫画でしか存在しない架空の生き物だと思っていたからもう全然驚かないけど。....これで初めてじゃねぇし。
さらに、火なんか使わせたら、近くを横切った俺の服に引火するなんていう事故も発生したし....。
「ふぅ〜いい湯だった〜」
リンが風呂からあがってきた。
「泡まみれになってないだろうな」
「なってないわよ流石に」
まぁ....リンも自分が家事をするとドジをするってことは自覚しているらしい。
そのことを最初に行った時リンは、
「それも個性だわ!」
とぎこちない笑みを浮かべていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます