第27話 実は……
現在朝4時。
「いやぁ...あと3日か...」
正直、負ける気はない。だが、絶対に勝てるという気もない。
.......なぜだかわからない。
「どうしたの?こんな朝っぱらから」
リンが声をかけてきた。
「ああ、おはよ。まぁ、能力祭も近いしな。少し練習でもしておこうと思ってな」
「練習?」
「ああ。ある程度の能力者の能力ってのは絞れるもんなんだ。例えば、身体強化系とかいい例だよな?あとは、炎や氷、水なんてのも、一応対策はできる。魔法とそんな変わらんし」
「ふーん」
「てか選手もかわいそうだよな。なんたって、リンが出るんだからなぁ...当たりたくねぇな」
「あら?私も敗退なんてするつもりは微塵もないから、康輔が勝ち残る...と言うのなら、決勝で会うでしょうね。それともその前に戦うことになるかしら?」
「是非とも決勝まで戦いたくねぇな」
だって、あんたの方が———
そう言いかけた時、
「2人とも何してるのぉ〜?」
ふらふらっとした足取りで、歩いてきたのは、自分の妹である萌音。
そしてそのまま、ソファーに座っている俺の膝に寝転べる萌音。
「......私たちよりも早く起きているから朝に強いと思ってたけど....」
「全然強くないぞ。なんなら、俺の方が強いからな」
「.......」
「意外だろ?まぁ、朝に弱い....萌音の朝に弱いは少し特殊でな」
「特殊?」
「むにゃむにゃ」
「.....朝に弱いくせして、朝早くに起きるんだ。まぁ、今回は1時間早く起きたっぽいからまた寝たみたいだけどな」
いつもは5時過ぎに起きて、6時頃に起きてくる両親の手伝い...家事の手伝いをしている。
「1時間ぐらいあったら、普通に目が覚めるわけで。いつも俺らが見ていた朝に強い萌音はそうやって出来上がっているんだ」
「そんなことがあるのね....。朝に弱いのに、早起きね....。確かに少し特殊ね。普通なら、朝に弱い人は起きるの自体が苦手で、起きる時間帯も遅い人がほとんど.....」
「そうだ。ちなみに俺の場合、4時過ぎには起きている。まぁただ、勉強を部屋に篭ってやりまくっているから出てくるのが遅い...だから、起きてくるのが遅く見えてたってわけな」
「.......とことん勉強バカね」
「勉強は俺のアイデンティティだ。これがなきゃ俺は何もねぇよ」
「そんなことはないのに...(ボソ」
「なんか言ったか?」
「いえ、なんでもないわ」
俺は、そっと萌音を俺の膝からソファーに移すと、家を出た。
外はまだ暗い。夜明けまでまだある。
なんの魔法を復習するとするかな....。
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