第26話 学校での1日
「康輔!この問題を答えてみろ」
正直、外を見ていた俺は、先生の話を聞いていなかった。
「はい?」
呼ばれた瞬間、間の抜けた返事をしてしまった。
「話を聞いていたんだったら、この問題も解けるよな?」
俺は慌てて黒板を見る。
そこには、
<問題>
濃度が8%の食塩水と15%の食塩水があります。これらの食塩水を混ぜ合わせて、濃度が10%の食塩水を700gつくります。8%の食塩水と15%の食塩水がそれぞれ何g必要か求めなさい。
と書いてあった。
「先生。10秒、時間をください」
「10秒ぐらいならいいぞ」
俺はシャーペンを持ち、速攻でノートに数式を書いていく。
「答えは、8%の食塩水が500g、15%の食塩水が200g必要」
「せ、正解だ」
まぁ、これぐらい朝飯前だろ。連立方程式とか受験時に何回やったと思ってるんだ。今日の授業が復習だっていうから外を見ていたのに。
ー授業後ー
「康輔ってやっぱり勉強できるのな」
友人の朋矢が話しかけてきた。
「あんなん簡単だろ」
「...お前って本当に勉強バカだよな」
「???」
勉強はいいことじゃないのか?
「でも先生もひどいことするよなー。先生、急にあの問題を作ったと思ったら康輔に、さっき説明してたからわかるよな?的な感じで当てるんだからさあ」
「はぁ⁉︎ったくはめられたわ」
「先生が策士だったな。まぁ、康輔が正解しちゃったから、意味なかったけど」
「あれくらいの問題で俺をはめれると思ったら大間違いだ」
「もう魔王やん」
朋矢が呆れた眼差しを俺に向けてきたが、どうして呆れているのか俺にはわからなかった。
「そういえば、能力祭出るんだって?」
「能力祭?」
「能力者選抜式高校祭。長いから能力祭」
「あーね。まぁ一応出ることにしたよ」
「いいなぁ...俺も出たかった」
「お前は、桜子にいい所を見せたいだけだろ」
「んなんじゃないって」
桜子というのは、朋矢のもう彼女と言っても差し支えない女子のことだ。
小学校の時から、何かと絡んでいるのを見たことがあり、さらには家にまで行ったらしい。
「いやいや、家まで行って桜子のベッドに横になったんだろ?もうそれは好きやん」
事実である。桜子本人に尋ねたら、事実だと言っていた。
本来、朋矢が照れ隠しで否定している...と思うのだが、それだけならなんとかサポートはできた。
しかし、桜子の方も否定しているのだ。
......正直にいうと、桜子の方も朋矢に髪を触られていても何事もなく過ごしている。
普通は「離れて」とか言うと思うんだがなぁ...。
だから、こいつらは正直見ていてめんどくさい。
好きなはずなのに...ちなみにこれは俺だけの戯言...などではなく、しっかり学年で公認のカップルとなっている。
「だから、それは.......そこにベッドがあったから?」
「いやだからって....逆に本当に好きじゃなくてその行為をしたのならお前は真の変態だよ?」
「俺は無実だぁぁぁぁ!!!」
朋矢の声が校内に響き渡った。
後から聞いた話だが、リンは異世界に行っていたらしい。
どうりで、魔力を感知できないわけだ。
親友と会いに行っていたらしい。
それ以外、何事もなく今日は終わりを迎えた。
能力者選抜式高校祭まで残り3日
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