第20話 決闘!!

「はぁ....」

「これから戦うってのにため息なんてしないでよ」

「ため息の原因が何言ってんだ」

命令に従わなかっただけで決闘とかこの世界の住人は頭おかしいのか?

「それでは、両者のどちらかが気絶、またはギブアップを宣言した場合、相手の勝ちとなります」

「それでいいよ」

「ったく.....やるっきゃねぇか」



両者は睨み合う。

そして、決闘開始の合図が出る。

「決闘試合....始め‼︎」

康輔は全速力でカシルに近づく。そして、高速で拳を繰り出す。

しかし、それはカシルにいとも簡単にかわされてしまう。そして、かわすと同時にカシルは剣技を繰り出してくる。

「あっぶね!」

康輔は間一髪でそれをかわす。

.....さすが勇者と謳われるだけはあるな。

「使っているのはクイックとアミナのみ....私をコケにしているの?」

「は?」

「どうしてブレイクは使わないのかと聞いているんです。それに攻撃魔法も使わない.....」

「はぁ....俺はお前みたいなロリとかを痛めつける趣味はねぇんだよ」

「ロっ!!どこまでも私をコケにして‼︎」

「勇者だろうがなんだろうが知らないが、俺からしたらお前はただのガキなんだよ」

「このぉ‼︎」

カシルが大振りの攻撃を仕掛けてくるが、洗練された剣技ではない斬撃に康輔を捉えることはできない。

「隙あり」

「んな⁉︎」

康輔は先の剣技を避けた時とは違い、余裕を持ってかわすと、カウンターを仕掛けた。大振りの攻撃をしたカシルは体勢が悪い。康輔のパンチが.....


「痛っ⁉︎」


——当たることはなかった。


代わりに当たったのはブレイクがかけられているデコピンだった。

「お前のお望み通り、ブレイクありきの攻撃にしてやったぞ」

「........」

ふらふらとカシルは歩き出すと、審判にギブアップを伝えた。

カシルはわかっていたのだ。

康輔がデコピンではなく、パンチだったら確実に負けていたと。

それだけではなく、あの時。攻撃魔法をされていたら死んでいただろうと、カシルは強者故に分かっていた。



「はぁ....眠い」

「決闘だなんて何してんのよ」

「しょうがないだろ。あっちからふっかけてきたんだから」

「だからってねぇ」

俺はあのあとリンに見つかり、宿に連行されていた。

街を散策するという計画が........。


その夜、勇者が宿にやってきた。リンは別室なため、いない。

「んでなんのようなんだよ」

「あの......今日はごめんなさい」

「なんであんなことしたんだよ」

「それは....普通にキレちゃって」

「.......」

こっちもキレそう。

「でも、あんたと戦って決めたの」

「決めたって何を」

「あんたの仲間にしてよ!」

「は?」

「...だめ?」

「だめとか以前になんでそうなるんだ」

「負けたから!」

「.........」

俺は額に手を当てた。


それから断っても、なかなか諦めないので、俺は根負けした。

「はぁ...わかったよ....」

まぁ、敵意はもう感じないし、大丈夫だろう。

「やったぁ!!」

屈託のない笑顔すぎる.......。

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