第19話 異世界では
鏡花の屋敷の扉を開け、中に入る。
すると、2階の廊下からものすごい音と共に、聞き慣れた大きな声が聞こえてきた。
「康輔ーーーーーー‼︎」
鏡花が階段から飛び降りてきた。
「....っと」
俺は鏡花をそのまま受け止める。
「だから飛び降りんのはやめいと言っただろ」
まぁ、言っても聞かんのは知ってるんだけども。
「今日は、康輔の異世界での話を聞かせて!」
「別にいいけど、そんなんでいいのか?」
「ええ」
俺は思い出せる限りの異世界での出来事を話した。
—1年前—
「いつまで歩くんだよ」
「もう少しなんだから頑張りなさい」
俺は、とある街まで歩いていた。かれこれ、3時間は歩いている。
「.......ほら、見えたわよ」
顔を上げると、人が行き交う街が見えた。
「いやぁ......ここがイシスミアか...」
街は活気だっている。人が行き交い、売人が行き交う人を呼び止めたりしている。久しぶりにこのように、人の声がたくさん聞ける場所に来れた。
今までは静かな平原だったしな...。
「それじゃ、私は宿をとってくるから。あんたは適当にぶらついてなさい」
「へいへい」
リンは人混みの中に消えてしまった。リンが向かった方向には宿屋が見えた。
あそこに向かったのだろう。さっき言ってたしな。
「さてと....どこに向かうとするかなぁ....」
どこに行くか考えている時、後ろから黄色い声が上がった。
「キャー‼︎‼︎勇者カシル様よー⁉︎」
「「「キャー⁉︎」」」
「後ろがうるさいな....こっちは考え事してるってのによ」
俺は勇者なんぞに興味はない。俺は、考え事に集中したいため、音を遮断した。
.....どうすっかなぁ....。服屋でもいいんだけど....武器..は要らないか。
「あの」
※康輔には聞こえてません
どうすっかなぁ.....ぶらつけと言われてもなぁ...。
「あの!」
まぁ、適当にぶらついてればいい店も見つかるか。
「もしかして音遮断魔法でも使ってるのかな....」
東....いや西に行くか。いやいや北にしよう。やっぱり南にしてみるか。
「"ディマージ"」
「ありゃ?音が聞こえる.....?」
「あの!!!」
「ん?」
後ろを見ると、1人の少女がいた。そしてその後ろで女性たちから殺気立った目で見られている。
「なんでしょうか」
「ちょちょちょちょっと待って」
話している最中に鏡花が話を遮る。
「"ディマージ"って何?」
「まず、この時代の魔法は俺らの世界のラテン語などが魔法の名前になっているらしい。英語とかもそうだな。"クイック"とか"アミナ"とか聞いておかしいと思ったんだよ」
「"クイック"って英語だったんだ...」
「しっかりしてくれよお嬢様?しっかり英語は教えたんだから」
「こ、今回はたまたまよ」
「.....まぁ、話を戻すが、それで"ディマージ"ってのは、英語のdeというものと、Magicが合わさった言い方をするんだ」
「magicはわかるけど、deって?」
「解除やダウンといった意味を持つんだ。destroyとかあるだろ?」
「あ〜」
「それを合わせたのが、"demarge"」
「なるほど....」
「話を戻すぞー」
俺は、人気のない路地裏に引っ張られていた。
「.....あなた。魔力が多いね」
「よく言われるー」
「.......私の仲間になってよ。ちなみに拒否権はないよ」
「はぁ...」
「私が勇者だってわかるよね?」
「そうなのか」
まさかの女勇者様だったとはな。てっきり男だと思ってたわ。
「って知らなかったの⁉︎」
「興味ないから知らん」
「ええ...」
「.......でもなんかお前みたことあるんだよなぁ...」
「そりゃ、勇者だもん。当たり前でしょ」
「とりま、用はそれだけか?めんどいし、人、任せてるから。それじゃあな」
俺は、足早と路地裏を出ようとする。しかし、
「行かせない」
....カシルだったか?
カシルが俺の進行路を阻んだ。
「私は勇者なんですよ?」
「はいはいすごいですねー」
「.....私をコケにして.....決闘よ!!!!!」
「はぁ⁉︎」
その声と共に、人がわらわらと集まって来る。
「だるいことしてくれたな.....」
「あんたが私の仲間にならないのが悪い」
そうして。
なぜか決闘に巻き込まれてしまうのであった。
ー別の場所ではー
「あいつ....どこに行ったのかしら。適当にぶらつけと言ったけど....」
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