第11話 バイト先

現在、萌音とリンとバイト先に向かい中のこと。

「誰なの?」

「だから鏡花のとこだって」

「......だから誰って聞いてるのよ」

「水月鏡花。水月という会社の社長令嬢だ」

「ふ〜ん」

リンはそう言って何かを考え始めた。

「何を考えてるんだ?」

「容姿……はどんなだったかなぁって」

.......<どんなだったかなぁ?>ってどういうことだろうか。

もしかして一度会ったことでもあるのだろうか。

んなわけないか。自分で"ポーター"を使うのは初めて、と言ってたしな。

誰かのに巻き込まれて行きかけたことはあったんだろうな。

"ポーター"は転送中に魔力を使うことで妨害ができるからな。

「てか、ちょくちょく俺の常時魔法を"オブスタ"すんのやめろや」

そう文句を言っていた時に、萌音が聞いてきた。

「"オブスタ"?」

「ああ。正式名称は"オブスタクル"」

「"オブスタクル"?」

「妨害系の魔法だ。効果を薄めたり、発動をキャンセルしたり、不規則に効果を切ったリついたりさせることができる」

「なんか大変なんだね」

「小並感がすごいんだが。意外と大変なんだぞ?」

「まぁまぁ、魔法について何も知らない萌音ちゃんに話してもいまいちわからないわよ」

「そうだよこうにぃ」

くそ.....リンのやつ、萌音側につきやがった....。

「まぁ、程々にしてくれよ?魔法張り替えたり、"オブスタ"を解除するのもめんどいんだからよ」

「まぁ...程々にするわよ。程々にね」

「....ちょっと待って?常時魔法って何?」

「そりゃ、常時付与してる魔法のことだよ」

「それは何となく言葉からわかるんだけど.....何種類かけてるの?」

「....."クイック"と、"ブレイク"と"アミナ"と"メンタル"と.....合計で10種類ぐらいかな」

「.....何でそんなに?」

「そりゃ、能力者に奇襲されても大丈夫なようにだよ」

魔法を付与してなきゃ、身体能力は無能力者と何ら変わりないからな。


ー数分後ー

「ついたぞここだ」

俺はスマホを見ながらそう言った。

「........まさかのお屋敷?」

萌音がぶるぶると震えながら言った。

「社長令嬢とは聞いていたけど、まさかここまで大きい屋敷だなんて」

「まぁ、俺も最初はそう思った」

「これ、魔王城の半分ぐらいあるじゃない」

確かに、魔王城の半分ぐらいあるな....。

「魔王城って.....まさか二人とも魔王を倒してたり....」

「う〜ん.....なぁ、リン」

「ええ、康輔の言いたいことはわかってるわ」

「....倒したとも言えるし、倒してないとも言えるんだよなぁ....」

「そうなのよねぇ....」

「???」

萌音はどういうことなのかわからないという顔をしている。

まぁ、実際に見てない萌音からしたら、訳がわからないよな。

「とりあえず、倒したには倒したわよ」

「まぁ、そうだな」

倒したには倒したが.....。

「まぁ、依頼主を待たせているんだし、この話は一旦置いておいて中に入ろうぜ」

「そうだね」


「鈴木康輔ですー」

そう扉に向かって言うと、鍵が開いた音がした。

ノブを捻り、俺らは屋敷の中へと入っていった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る