【あとがき】氷のように冷たく

 こちらは、『氷のように冷たく』のあとがきのようなものになっております。かなり長い上に、作者がだらだらと語っているだけなので、本当に気になる方だけどうぞ。


。。。


さて、まずはこの作品の元ネタなのですが。アンデルセン作の『雪の女王』になっております。


『とても仲の良い男女、カイとゲルダ。ある日、悪魔の作った鏡の破片がカイの眼に刺さってしまいます。すると、彼の性格は一変してしまいます。そして、どこからか雪の女王が現れ、カイを連れ去ってしまったのです。いなくなってしまったカイを探すため、ゲルダは長い旅に出ます。魔法使いに出会ったり、カイにそっくりな王子様に出会ったり…ある時には山賊に捕まってしまったり。様々な冒険を経験します。そして、山賊の娘に助けられたゲルダは、トナカイに乗って雪の女王の住むお城に辿り着きました。やっとカイを見つけたゲルダは涙を流し、その涙がカイに刺さった鏡の破片を溶かします。そして2人は手を取り合って故郷に帰ることが出来たのです。』


という物語。こちらは、作者が掻い摘んで書いたものになっていますので、気になる方は童話を見つけて読んでみてください。


。。。


感想や裏話です。


雪の女王は他の童話に比べても長い物語になっていて、7つの章で成り立っています。


本当は『氷のように冷たく』も⑦に完結させたかったのですが、出来ませんでした……。これは私の技量のなさが目立つ目立つ。そもそも原作の章に沿ってもいないですし(汗)


というかこのお話、実はもう少し短い予定でした。千桜と桜雅の下りとか……後付けです。最初はサラッと出てきて応援だけしてくれる役だったんですけどね。なんか勝手に動き出しました。


さっくり言うと、氷愛のおまじないで性格が豹変してしまった海斗を、みのりの愛で元に戻す……。そう言うのを書きたかったのですが、余計なものをごちゃごちゃと書きすぎた。と反省しております。


。。。


ここからはキャラについての解説のようなものになります。


○真木 みのり(まき みのり)

 主人公の女の子です。ゲルダを元に誕生しました。ちなみに、名前の由来はアンデルセンの故郷であるドイツ由来では無くて、北欧神話の『ゲルズ』から来ています。豊穣の神の妻であるゲルズなので、名前に種まきや、木々のを連想させる『真木』。実るや穂などを連想させる『みのり』を採用しました。

 愛情深く、諦めない強さを持つ女の子を意識していたはずなのですが、作者である私のメンタルに影響されて少々弱い部分も多く描写されてしまいました。私は好きな人にあんな事されたら不登校になる自信があります。ごめんね。みのり。


○騎本 海斗(きもと かいと)

 カイを元に誕生した男の子です。ドイツと言ったら騎士っぽいイメージが作者にはあって、更に、呪いに立ち向かうと意味で、苗字に『騎本』。カイに近い言葉で、『海斗』を採用しました。

 彼は物語の都合上、イケメン設定にしてあります。原作と同じく、心優しい少年で、クラスでは男女関係なく誰とでも仲良しです。氷愛のせいで心優しいシーンはあまりないけど……。海斗はみのりと両想いであることをずっと知っていました。ただし、常にそばにいたので付き合うことは頭から抜けていたようです。本編で語った通り、この子は18歳になったらみのりに結婚を申し込む気でいました。原作基準でいくと、完全なるキャラ崩壊野郎です。


○白石 氷愛(しらいし ひめ)

  雪の女王を元に誕生した少女。黒幕でもあります。雪と言えば白。そして、彼女に対して石のように硬く頑固なイメージを持たせるために苗字を『白石』としました。名前の方は冷たい氷のイメージ。そして愛に溺れた女という意味もあり、『氷愛』を採用しました。

 彼女には、学園で1番の美人という設定があります。それ故、海斗が自分に靡かないことが不満でした。原作での雪の女王は、タイトルになっているのにあまり出てこない脇役のような存在です。カイ少年の性格が豹変してしまうのも、雪の女王がしでかしたことではなく、たまたま悪魔の鏡の破片が刺さるというものですので。しかし、この物語で氷愛は呪いをかけた本人としています。

 作者は最初、みのりの海斗への愛情の深さを試すために呪いをかけた。という設定にしようと思っていたのですが、それにしては海斗がみのりに対して暴力的すぎたため、氷愛を本当は身を引こうとしたいい子。にしづらくなってしまったのです。氷愛が徹底的な悪者になったのは、そういう経緯もあります。原作の雪の女王は賢く理性的な性格をしているため、愛憎で呪いをかけてしまった彼女は、1番原作のキャラクターと程遠い性格をしていることでしょう。申し訳ないことをしたと思っております。


○花村(はなむら)

 魔法使いをベースに考えた、みのり達のクラスメイトの男の子です。彼の名前の由来は、魔法使いが庭に様々な花を咲かせていることから来ています。

 原作での魔法使いは、ゲルダをたいそう可愛がって、自分の元に置いておくためにカイを忘れさせる魔法をかけました。花村が告白をした時に、海斗のことなんて忘れてしまえばいい。と仄めかすような発言をしたのは、ここから来ています。結局、ゲルダと同じように海斗への気持ちを忘れることはなく、みのりは花村を受け入れることはありませんでした。彼はフラれてしまいましたが、元に戻った海斗がみのりを幸せにしてくれるでしょうから、きっとすぐに立ち直ります。本編では色々と言っていましたが、実は海斗との仲は良かったです。むしろ友達でした。


○天王寺(てんのうじ)千桜(ちお)、桜雅(おうが)

 王女とその許嫁の王子がベースになった、双子の兄妹です。『王』と言う文字を無理やり使いたくて、『天王寺』というかっこいい名前になりました。名前の方は日本らしい『桜』の文字を採用しています。

 桜雅と海斗の顔立ちが少し似ているというのも、原作のカイにそっくりな王子様をイメージしています。ゲルダはカラスに2人の住むお城まで連れて行ってもらいますが、みのりは向こうから声をかけられるという……。それほど目に見えて落ち込んでいたということでしょうね。


○山中 松恵(やまなか まつえ)

 山賊の娘をベースにして誕生した、みのり達のクラスメイトの少女です。山賊からイメージした『山』のつく苗字と、とある女盗賊の名前を少し借り、『松恵』にしました。その盗賊は架空の人物と言われているらしいんですけどね……。

 彼女は最初こそ意地悪をする側の人物達の仲間にいましたが、作中でも言っていたように、みのりの真っ直ぐ海斗を思う気持ちに心を動かされ、友達になり協力者となります。ひねくれた部分はありますが、ゲルダを助けてくれた山賊の娘ように、優しいところを持ち合わせた少女です。


○おまけ

 原作に出てくるラップランドとフィンランドの女は出できていません。まあ、トナカイも出てきてないんですけどね……。この辺りは、作者が昔に読んだ絵本で端折られて書かれていることから来ています。もしかして、知名度ないのかなって。

 トナカイを用意するのが山賊の娘である絵本、多いのでしょうか? 作者がたまたまそういう絵本を持っていただけですかね…?


。。。


最後に、海斗の性格を変えたコンパクトについてお話します。


化粧品のフェイスパウダーとしてのコンパクトを意味していますが、中身はフェイスパウダーではなく、魔法の粉になります。この粉が鏡の破片と似た役割をしています。


実は、氷愛は怪しい占い師からこのコンパクトを入手しています。先生達に取り押さえられた氷愛はこの事を話すでしょうが、その時には既に、占い師はこの街を去っています。


海斗のおまじないが解けたのは、やはりみのりの愛のパワー…と言いたいところですが、原作と同じように、涙によって目に入っていた魔法の粉が洗い流されました。


ちなみに、原作ではラストの方、カイの心が凍りついてしまっているのですが、こちらは目に魔法の粉が入っただけで、心臓には何もされていませんので、心が凍りつくことはありませんでした。だから終始みのりに暴力的なんですけどね……。


。。。


かなり長くなりましたが、ここまで読んで下さった皆様、ありがとうございました!


次のお話も読んで下さると嬉しいです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る