紙片:誰がための物語か

 これは思考領域の開放。私のためのヘッドスペース。

 共有の選択は読み手に委ねられている。


 いかに予防線を張ろうとも、人は見たいものを見たいように見る。

 美しき心を描く者ほど心を知らず――

 美しき文を書く者ほど一点の単語のみに執着する。


 それはこれまでの人生においても――

 この世界カクヨムにおいても証明されている。


 卑しき顔の救済者。慈悲に潜んだ支配欲。

 攻撃性を伴う謝罪。自己愛性の美辞麗句。


 それが〝カクヨムであった怖い話〟。

 それは傷つけられた物語。私の癒えぬ傷痕。



 私は迷い続け、悩み続け、一つの解答に往きついた。


「誰がために描く物語か?」


 それは第一の読者、私のため。

 そして応援をしてくれる、あなたのため。



 不安があった。空白があった。

 挫折が、障害が、苦悩が。

 それらを乗り越え、送りだした物語。


 あなたは何も言わず、そっと応援をしてくれた。

 ただ、それが嬉しかった。


 慈悲と共に放たれし、許容量を越えた言葉。

 言葉によって潰された者に、これ以上の言葉は要らぬ。


 私は、すでに往きついた。

 どうか言葉は登場人物かれらへの、冒険のために届けてほしい。


 ただ、読んでくれている。ただ、見守ってくれている。

 ただ、応援してくれる。ただ、ファンでいてくれる。

 ただ、好きでいてくれる。それだけが嬉しい。


 私は、そんなあなたのために物語を描く。

 いつも応援をしてくれる、あなたのために。

 私の生きた証を。私の愛する物語を。


「いつもお読みいただき、ありがとうございます」


 定型と化した、終の言葉。

 これは私の本心からの言葉。


 私を応援してくださるあなたへ、心から感謝を伝える言葉。



 〝あなた〟とは、すなわち〝あなた〟。

 悪いだけが〝あなた〟ではない。


 人は見たいものを見たいように見る。

 人とは繊細で残忍な、多面性をったもの。


 〝あなた〟とは、誰でもない〝あなた〟だけなのだから。


 そう。あなたも、あなたです。

 だから、いつもありがとう。



 私は、これからも物語を描く。

 私だけの物語を、私だけの書式スタイルで。


 完璧ではない、正しくはない、美しくもない――

 そこに在るのは真世界。剣と魔法と冒険者。

 消えゆく世界を愛した男。名も無き最後の侵入者。


 私と、あなたが楽しんでくれる――

 ただそれだけの物語を。



 あなたに、心から感謝をこめて。

 いつもお読みいただき、ありがとうございます。

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