星と共に去りぬ

また星を消されてしまいました――が、今回はいつもとは違うようです。


★だけでなく――拝読させて頂いた作品も、作者様も居なくなってしまわれたんですよね。確か、BANされた場合には名前が表示されなくなり、★そのものは残る筈です。つまり残念なことに、カクヨムを退会されてしまったようです。



その作者様はいきなり★を付けて下さった方でした。

しかしながら、単純に営業目的で★だけを投げたのか、読んだけれど♡は付けない主義だったのかといった判断は出来ませんからね。

個人的には、お読み頂いたうえで評価を下さったと信じております。



実は今回は、★を失ったこと以上に悲しいことがありまして。

万が一、「営業」目的でお越しくださっていた場合も考え、速やかに返礼にも伺っていたのですが――。


面白かったんですよね。

その作者様の作品が。

私が読みに伺った段階で★も100を超えておりましたし、間違いなく名作です。


その作品は独特の文体で執筆されておりまして。一切の句読点が無いんですよ。

文章の区切りがどこなのかすらわかりません。


小説の基本的な技法が――などといった、それ以前の文体です。

それなのに、とても読みやすくて面白かったんです。


まるで作者の頭の中をダイレクトに読み取っているかのような、唯一無二の没入感でした。ストーリーもしっかりとしており、設定も良く練りこまれておりました。

世界観も良く、印象に残る言葉や単語もほどよく登場しておりました。



実は、レビューも用意していたんですよね。

私はレビューを書く際、作品の下書きページに予めレビュー文を書き、推敲した上で投稿しております。


ひと様の作品にお邪魔するわけですからね。

一度、客観的に自分の文章を見るためです。


そのレビューは、次の更新の際に投稿させて頂こうと思っておりました。

文体は滅茶苦茶なのに本当に面白く、あっという間に読みきってしまったんですよ。


ですので、次に更新された時に是非――と思っていたのですが、私が書いたレビューが示す作品は、もう無くなってしまったんですよね。



カクヨムを去ってしまわれた理由が何であるかを察することはできません。

もう読めなくなってしまったのは悲しいですが、もしかするとポジティブな理由だったのかもしれません。


もしかすると他サイトで活動されているのかもしれませんが、少々長めのタイトルでしたので、正確に題名を覚えていないんですよね。


ちなみに、メイドさんが活躍するお話でした。

文体さえ標準的なものに合わせていれば、「お仕事」「賢いヒロイン」などでも好成績を残せそうな、素晴らしい作品でしたね。


――とはいえ、あの文体だったからこそ、良さがあったのかもしれません。

例えるならば、文字を指でなぞるとダイレクトに頭に入ってくるような感覚でした。


光ディスクだと何かが違う気がするので、レコードやカセットテープをロードしている感じですね。あんな読書体験は初めてでした。



私がカクヨムに投稿する前、『ミストリアンクエスト』を改行も鉤括弧も入れずにメモ帳へ書き記していたのですが、あれを他人が読むと同様の感覚が味わえたのか――とも思いましたが、私が書いていたものはあくまでもメモです。


くだんの作品は、しっかりと他人に読ませる物語として成り立っていたんですよね。

真似が出来ません。天才的だったと思います。

ゆえに惜しい。悲しい。寂しいですね。


もしもまた巡りあえたなら、今度こそレビューを書かせて頂こうと思います。

すでに下書きとして保存してありますからね。


名作を読ませて頂いただけに、どこか物悲しい。

こんな「星消し」もあるんだなぁ、と――。


今回は、そんなお話でございました。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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