幕間:魔法勢力図の変遷

 魔法は魔力、魔圧、構文から成り立っている。


 豆電球が魔法だとすると、魔法構文は電気回路、魔力は電流、魔圧は電圧に相当する。


 ソフィアは魔力、魔圧に優れているが、構文が苦手であるため、一人では高度な魔法を構築できない。


 シエルは天才的な構文を記述できるが、魔力、魔圧が弱いため、一人では魔法の威力が弱すぎる。


 この二人が組めば、人族史上最強のペア魔法使いとなるのだが、ソフィアが裏切り、エドワードの元に走った。


 そして、ソフィアとエドワードのペア魔法は、シエルと組んだ時よりも数段落ちるが、人類最強となった。


 王家がパルマ家を武力で圧倒できるようになった瞬間、エドワードがパルマ家に牙を剥いた。初代の遺言もこれまでの恩義も、下衆の極みのエドワードにはどこ吹く風だ。


 だが、下衆ではあるが、エドワードは優秀だ。対魔族の戦争のことがあるため、人族同士の戦力の削ぎあいは避ける必要がある。エドワードは、パルマ家を攻め滅ぼすのではなく、力で配下に組み込むことを選択した。


 それに真っ先に対抗したのがシエルだ。そして、アナスタシアと組んで、ソフィアとエドワードと対峙したのだが、やはり力負けしてしまう。しかも、ソフィアが昔のよしみで、シエルを殺すほどの魔力を出さないよう手を抜いてくれたから、生き延びたに過ぎない。


 エドワードがいつそれに気づくかわからないし、ソフィアの気が突然変わるかもしれない。


 シエルは逃げ出すことにした。

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