第28話
「アゲハ、キシン族はジャマルとの共闘によって使徒と敵対するつもりでいる。
その認識に間違いはない?」
「結果的にそうなる可能性高いよねー!
でもぉ、マスターがいるからぁ、存命している限りは無理に敵対関係になる必要もないかなって感じだよぉー!」
キシン族が総力を上げて敵対するつもりなら、協力して貰っている以上、僕達も敵対する必要もあったけど、キシン族はあくまで科学の発展が進むのであれば使徒達を滅ぼすと言う計画は実行しないというわけか。
これで、僕達が光の使徒と敵対しなければならない理由の一つは消えた。
といっても、イブローニュの話しから、光の使徒は僕に嘘も吐いているし、光の使徒が調和を乱した張本人っぽいから光の使徒の側に着こうとは思わない。
となると、ファーブルの問題としては、闇の使徒達と敵対するかどうかって話になる。
闇の側には、テレサの仇であるサイファーが居る。
かといって、それが理由で闇の使徒全てと敵対するのは違った話であると僕は思う。
どの道、僕はサイファーを倒すと決めているし、闇の使徒とはその後に接触をしてみるか。
「ジュラ、今後ジャマルが使徒達と敵対するとなった場合、どちらの勢力に着くべきだと思う?」
「面白い事を聞く子だね。
それなら其方が覇権を握れば良いじゃないか。
それでも答えを求めるのなら、スリンク王国側に着くのがいいだろうね」
「それはどうして?」
「首を取るならでかい方が良い。
その方が面白いからねぇ」
「有難う、参考にさせてもらう。
それじゃあ、アイリスはどうだ?」
「光の使徒の目的は闇を滅ぼす事。
それなら私は光りの使徒に着いた方がいい!
私はテレサの仇を取る!」
「僕もサイファーを倒すと決めている。
どんな判断を下す事になってもね。
それじゃあ、次はセシリアの番だ」
「私はどの勢力とも敵対しないのが理想だと思います。
ただ、もしそうなった場合は、光の使徒の側に着くのが得策だと思います。
光の使徒を滅ぼせば、どんな天変地異が起こるのか想像も出来ませんし、あまりにデメリットが大きすぎるので」
「有難う、確かにその通りだ。
使徒と敵対するならその後のデメリットも考慮するべきだと僕も思う。
マリルゥは何かあるか?」
「私? そうねぇ。
コゼットの好きな方を選んだらいいんじゃないかな?」
マリルゥはフフンっと笑みを浮かべている。
なんか上機嫌だけど、どうしたんだ?
まあ、特に意見はないと言う事で次にいこう。
「ミルアとファーリーもマリルゥと同じ感じかな?」
「ミルアはね、お花がすきなの。
きっとお花を見ればみんな優しくなれると思うの。
争いは悲しいの……だから……だから、ミルアは人間さんに花を
「有難う、ミルアは優しい妖精さんだね」
「ファーリーのやりたいアイドルは、パパとママを笑顔にするんだよ。
だからファーリーは、パパとママの為に頑張るだもん。
その為に火種を
僕に判断を委ねると言う話しを除けば、光の使徒の側に着く方が優位か。
セシリアの意見が一番的を得ていると思うし、敵対するのは避けて、そうなった場合には光の使徒側に着く。
僕はその方針を皆に伝えた。
「お待ちください」
僕が話を
「どうしたの?」
「下僕のみでありますが、国の方針として
「いいよ、皆に伝えたい事があるのならイブローニュの意見を教えて」
「はい、光の使徒様の側に着くお考えの様ですが、それは危険にございます。
あの方々はもう、汚れを知り、神であられた頃の思考にあらず。
その為、味方の側に着くのであれば、その私利と私欲により、災いに巻き込まれ兼ねません。
どうか、私のなどの
ここでまさかの、助言。
光の信徒であるイブローニュは光りの使徒をそんな風に見ていたのか。
なら、イブローニュは光の使徒を見限り、僕の側に着いたと言う事?
どうにも腑に落ちないな。
この場で一人だけ片膝をついて、僕を見つめる慈愛に満ちた溢れた表情が全てを物語っている様な気がする。
使徒を見限るとか何も考えず、僕の事を心配しているだけって感じがするな。
「わかった。
イブローニュの意見は参考にさせてもらうけど、今の方針に変更はない。
今後変わる事も考慮していくし、方針が変わるならそのつど連絡する」
今後の方針は決まった。
ジャマルには悪いけど、いざと言う時にはスリンク王国とは敵対させてもらう。
今後の事も決まった事だし、この場を解散して、僕は地下にあるヒュージビートル達の巣へ向かった。
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