精神病は作られてるって? ⦇大長⦈

 こんにちは、たてごと♪ です。

 難読姓「小鳥遊たかなし」、これの語源は〈小鳥が遊んでいれる状態〉こと「たかなし」ですが、たかがいないという条件さえ満たせばいいのなら、「北極たかなし」や「溶鉱炉たかなし」でもオッケーじゃないすか。


 ……はい(

 さてさて、よくわれる論調ですわよね、


  ◦ 〝精神病は作為的に作り出されている〟


ってやつ。

 精神病だけじゃなくって、発達しょうがいなどに関しても同様ですけども、大半の当事者には噴飯ものなんじゃないですかねえ、ぼくもそうですし。

 かつ、先に結論申しますと


  ◦ 一応それは本当の事だが、悪くわれるべきものではない


でしてね。

 そこらへん、説明していこうと思います。



     †



 まずこの論調自体は、大きく分けて二つの論で成ってるもので、それは


  ①  精神病なんてものは、医療業界が理屈をこねて、無理やり作り出しているに過ぎない

  ② それはかねもうけという、不純な動機によるもの


みたいな感じですね。

 これ、勘違いしないでほしいのは、①の論については本当の事なんですよ。

 だって、もともと病気とは認識されてなかったものを、次々と病気として扱い始めてるわけです。

 じゃあこれもう、事実としては否定のしようが無いじゃないですか。


 だからこそ乗せられやすい、ってのは有るんですが、とはいえ②の論のほうは「否定されるべき」で。

 ああいや、企業の営業担当とかが自身の成績目当てに、ウソばらまくケースはそこそこ有るんでしょうけどね。

 そんなすさんだ競争を産みだす資本主義なんて、もう止めたほうがいいんじゃないの、とも思いますが、それはさておき。

 一方で研究開発の担当者とか、医療従事者なんかの大半は、そんな事は考えてないはずなんですよ。

 と言うのも、医療行為というものには、彼らがいちおうちかうはずの原則が存在するからです。

 これは『ヒポクラテスのちかい』でけんさくすれば、すぐ出てくると思いますけども、その中に


  ◦ かんじゃに利すると思う治療法を選択し、害と知る治療法を決して選択しない

  ◦ しょうがいを純粋と神聖を貫き、医術を行う


 みたいな条項が有るんですよ。

 こんな事をちかえるのはぶっちゃけ聖人なんで、だからこそ医療従事者は「聖職者」とも呼ばれるわけですね。

 まあそんなちかいの文句が有るからといって、それが保障されてる保証はどこにも無いわけですけども。

 だからとやみくもに疑ったところで、背信の証拠でも実際につかんでないかぎり、そんなのはただ空気を悪くするだけでしょう。

 そういう行為はギスギスと社会をとどこおらせますし、なにより「めいそん」という悪行にすら該当するものなので、やめといた方がよろしいかとおもいます、


 それはそれとして、そもそも踏まえとかなきゃいけないのは精神病うんぬんよりも、まず「医療とは何ぞや」って所でして。

 何のためにあるのかと言えばもちろん、「生活に支障をおよぼす苦痛を、人から取り除くため」ですね。

 そしてそれを、肉体的苦痛に限定していたものが〝古い医療〟、精神の分野に拡大され始めたのが〝現在の医療〟なんですよ。

 そのように精神分野に進出してきたのは、


  ◦ 生活に支障出るレベルなら立派なしょうがい

    → 肉体的精神的という区別に意義は無い


  ◦ 精神は脳という体器官が体現させている

    → 肉体と精神は不可分


という、二つの考え方によるもの。

 前者の考えが無いなら、そもそも「肉体的苦痛すらどうでもいいじゃん」って話になるわけで。

 後者の考えが無いなら、そもそも「薬物や手術によって精神をどうにかしよう」なんて話にはならんわけで。


 何にしても、〝新たな精神病なんかわざわざ定義するな〟という論が有ったとしたなら、それって「新たな問題なんか提起するな」「ぼくらの苦痛なんか見過ごせ」とかいう意味になるんですよ。

 いやはやものすごいですねえ、いかにも非人道的な考え方じゃないですか。

 じゃあそれを言うのもにんにんなんだろうから、聞き入れる必要なんて無いですよねっ♪

 はァ……問答無用ってス・テ・キ♡(



     †



 ただ精神のしくみ、脳の機序って、未だにほとんど解明されてませんのでね。

 だからたまには「こんなん毒物以外の何物でもないじゃん」みたいな、とんでもない治療薬も出てきたりするんですけども。

 でも根本的にわきまえておくべき認識として、医療を含めて


  ◦ すべての人為はまだ原始と言っていいほどの発展途上


ってのが有るんですね。

 たとえば、もしも


  ◦ 〝なぜ物には色が有るのですか〟


と質問してみれば、多くの科学者たちがうれしそうな顔して()、「そこまで要らんわ」ってくらいに解説を並べ立ててくれるでしょう。

 でもじゃあ、いざ


  ◦ 〝青の波長の光が「🟦」、赤の波長の光が「🟥」のように感受されるのはなぜですか〟


と質問してみると、いずれの科学者からも答えは返ってきません。

 こんな、日常で当たり前に観測される現象の理由すら、さっぱりわからんのですよぼくらは。

 〝人類のえい〟なんて、しょせんはその程度。

 物理の機序だったら、ちょっとぐらいはデキるのかもしれませんが、生命のもつ感覚や認識の機序については、なんら解明できてないんです。

 つまりそう、


  ◦ 


って事で、たかが量子力学ぽっちでイキってる場合じゃねんですわ(


 ちなみに某デカルト坊主()の、〝我思う、我り〟ってことばが有名なものでして。

 でもそういった哲学は、〝最も役に立たない学問〟とかわれたりもするんですけども。

 これ、「」ってやつなんですね。

 そもそも哲学なんて、ぼくらの社会のいとなみの根幹を成してるもので、つまりそれ単体で存在するものじゃないんです。

 それは末端の実働者に対する管理者のようなもので、たしかに現場とは実働者が回してるものだから、管理者自体はなんら現場どうしてないとは言えるかもだけど、その実働者を動かしてるのは管理者でしょっていう。

 ともあれ、くだことばって「生命とは何か」を考えるとき、どうやっても避けては通れないはずの問題だって、ぼくは思うわけですよ。

 ここから逃げ続けてるような人たちが〝生命の神秘〟に到達することは、たぶん無いんじゃないでしょうか。


 まあそんなにわかってない事だらけなんですから、そりゃあ失敗も当然起こります。

 問題だって、次々出てきますわな。

 だから、一見してとしか思えないような一面すら、みられたりする。

 そこはもう「」んです。

 これを理解できない人だけが、もなくギャーギャーと騒ぐわけですね。



     †



 ところで、偽薬プラシーボレベルの効果しか無いくせに副作用や離脱しょうじょうがひどい、『パロキセチン』という向精神薬が有りまして。

 幼青年を中心に自殺衝動がみられたり、薬害のしょうじょうを指す〝シャンビリ〟ということばまで生み出されたりと、なかなかの物議をかもしたやつです。

 こいつにはぼくもさんざん苦しめられましたし、ほかの大勢もやっぱり苦しめられましたし、だから当然さんざんたたかれまして。

 そこから〝不当なかねもうけだ〟との陰謀論もまた、展開されたわけですね。


 でも現在これは、「耳鳴りの抑制薬」として効果が期待されていたりします。

 どんな薬物がどう作用するか、って機序は未だはっきりとしてませんから、こんなひょうたんからこまみたいな事も、起こってくるわけですけども。

 ではもし、「役に立たない向精神薬」というだけの理由で、『パロキセチン』を破棄していたとしたら。

 当然、「耳鳴りに効果が有る」なんて事もわからずじまい、だったんじゃないですかね。


 やっぱり人類の進歩って、こういう事だと思うんですよ。

 そりゃあ、そのまま別の事に転用できる物ばっかりじゃないでしょうし、転用のしようすら無いって物も有るでしょう。

 でも、なにしろ命の機序が不明なわけですから、「それではうまく作用しない」ってわかるだけでも、立派な成果なんじゃないですか。

 これを認めれない人には、文明の利器をきょうじゅする資格なんか無い、ってふうに思いますよ。


 もちろん〝十分にテストしてから供給してくれ〟って要望も、当然有るんでしょうけども。

 でもどこかのだれかさんたちが、〝愛護〟ということで精神系の動物実験をてってい排除してくれたり。

 あるいは別のだれかさんたちが、〝低コスト化〟ということでゆうてってい排除してくれたり。

 そういう数々の「配慮()」のおかげで、特に向精神薬において本当に十分なテストを実施できる製薬会社さん、たぶん今ではどこにも存在しませんよ。

 まことおそろしい話です。

 ってな事で、考えなしに〝可哀そうな事はダメだ〟〝物は安いほうがいい〟とか放言するのって実は、かなり人道にもとる行為でもあったりするんですね。

 なんというか、〝口はわざわいの元〟ということわざの威力が、ぎつい方向から再確認できる話だと思います。



     †



 すこし別の話かもですが。

 そもそも


  ◦ 肉体的苦痛なんかより、精神的苦痛を放置するほうがまづいのではないか


みたいな予想を、ぼくはしてまして。

 と言うのも、一発のグーパンチだけでもへこむ人らが大勢みられる一方で、タンスのかどに足の小指ぶつけてうつになるような人、ほぼみられないじゃないですか。

 それも冷静に評価すれば、グーパンよりも足の小指ぶつけるほうが、痛覚的には強いと思いませんか。

 だいいち、痛覚そのものが与えられるのがダメなんだったら、格闘技選手やらスポーツ選手やらが、ことごとくうつになってないと奇怪おかしいはずでしょう。

 でも現実には、そんな事にはなってないわけで。


 かつ、言葉のやいばと物理のグーパンで、〝脳に及ぼされるダメージに差は無い〟って研究結果も出てたりするんですね。

 その精神的ダメージは、「脳の物理的なしゅく」という形で測定されるもの。

 縮むんですよ脳、殴られると。

 脳って神経細胞のかたまりなわけですが、これがストレスホルモンとかでダメージ受けて死滅して、そのぶん体積が減るって寸法です。

 で、「一度ダメージを受けたら二度と回復しない」のが、神経細胞の特徴。

 だからぶっちゃけこれ、今のところは治療方法が無くって、元にはもどせないんですね。

 将来的には、どんな細胞にも転化できるって期待されてる「iPSアイピーエス細胞(人工インデュースド多能性プルリポテントステム細胞セル)」でもって、何とかなったりするのかもですが。


 半身不随とかが回復することが有るのは、別担当の神経細胞が機能を肩代わりし始める、っていう「奇跡」が時々起こるから。

 いわゆる〝リハビリテーション〟ってやつも実は、そういうばく的なものでしてね。

 まあ実際のところは個人差こそ大きいにしろ、ある程度の成果は出るんですけども、しょせんはただの肩代わりなわけですから、完全な機能回復なんて望めません。

 ダメになった神経はもうダメ、っていう原則については基本、変わりないわけですね。

 そういう神経の損傷が、思考回路をつかさどる部分に及んでる場合に〝精神病〟、という事になるんだと思いますが、じゃあこれの回復の見込みってさあ……っていう。


 以上から、


  ◦ 精神的苦痛とは、不当にさらされる事で生じるもの

  ◦ 物理のグーパンチが与える物も、結局は精神的苦痛

  ◦ ぼくらにとって精神的苦痛こそ、もっとも重篤な被害


なんじゃないのと、個人的には思いますね。

 当てずっぽうをずらずら並べたんで、大ハズレかもしらんですけども(

 でも昔から、〝やまいは気から〟ってことわざも有ったりするもので。

 これって本来は、〈がんって気を張れ〉じゃなくって、〈やみに傷つけるな〉という意味だったりするんですね。

 だとしたら、当たらずとも遠からずかなあ、みたいな感触は有りますわね。


 ところで、そういうことわざとか見てると、〝いや……昔の人ってなんでこう次々と、本質を言い当ててるんだよ……〟とか、思わされるわけですが。

 つまり昔の時代って、ネットやTVどころか報道自体が、皆無に等しい状態でしたし。

 ふと手がいたときに「観察」か「さく」くらいしか、する事が無かったんじゃないですかね。

 もしかしたら現代人でも、同じく情報にとぼしい環境だったら、同じ境地に辿たどりつけるのかもしれません。

 なるほど「人は情報に踊らされるもの」、と。



     †



 ともあれ、よくわれる〝要らない物など無い〟っていうのは、かなり真理に近いと思います。

 ってかまあ、それは「」って言ったほうが、正確だったりするんですがね。

 でもそのおかげで『パロキセチン』は復活の目をみた、だったら強欲万歳じゃないですか。

 じゃあ〝強欲は七つの大罪のひとつ〟だなんて、マヌケな定義かましたおバカさん、いったいだれなんでしょ(


 どうあれ、ここしばらく騒がれてる『新型コロナウィルスワクチン』とかもそうですけども。

 そういう「人の努力」を、深く考えもせずに非難する人たちへ、ひとことぼくから送るとすれば、


  ◦ 将来の可能性つぶそうとすんの、迷惑通り越して有害きわまりないから、ちょっと黙っててもらえる?


かなあ、と。

 新規に作られる物に対しては、特にね。


 まああれ、「〝精神病は作為的に作り出されている〟とかいう攻撃的なことばによって、悪人は作為的に作られてるんだなあ」とすら、思ったりしてしまうわけですが。

 そんなぼくってやっぱり、ひねれ者なんですかね。

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