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PM 4:25 札幌市内某所


幻狼フェンリル』の背に跨り、もう一体の『合成獣キマイラ』との交戦を始める。『幻狼フェンリル』は、『合成獣キマイラ』に向かって突進をするが、『合成獣キマイラ』は山羊のような頭部から冷気を吐き、私たちの進行を妨害する。

 だが、『幻狼フェンリル』もまた炎を纏うことで、冷気を弾きながら進む。


「『幻狼フェンリル』。まだ行けるか?」


『無論だ!』っと『幻狼フェンリル』は、さらにスピードをあげる。そして、鋭利な爪で『合成獣キマイラ』を攻撃する。

 しかし、擦り傷程度で済んでしまい、終いには傷が癒えてしまう。


「さっきのやつより、明らかに強いな」


『誰かが契約したものだろう。しかし、この程度なら十分よ!』


「それは良かったよ。なら、もう加減はいいな」


幻狼フェンリル』は、遠吠えをし、再び『合成獣キマイラ』に向かって突進する。『合成獣キマイラ』は、今度をライオンのような頭部で、突風のような息を吐く。

 だが、『幻狼フェンリル』はそれを避けては今度は口がら火球を放つ。しかし、『合成獣キマイラ』はバリアを展開してそれを耐えては、蛇のような頭部で私たちの頭上に雷を落とす。


『ふん! その程度で我を退けようとは、笑止!』


幻狼フェンリル』は、雄叫びと共に空から火球を降り注がせる。その火球は、『合成獣キマイラ』に直撃するが、さっきと同様バリアを展開することで、耐え凌ぐ。


「こいつは、どうも手強いな。まさか、ここまで飼い慣らしてるとは」


『そのようだ。しかし、中々の上物よ! 血が騒ぐものよ』


「はいはい。だが、野晒しと言うわけにも行かないな」


『ほう? 何か策であると言うことか?』


 私は、目に魔力を集中させる。すると、『合成獣キマイラ』の魔力を可視化させ、中核部を発見させる。

 しかし、それと同時に不可解な烙印も見つけ出す。


「なんだこれは? あまり見ない烙印だな」


 私は、烙印が刻まれてる箇所を見る。すると、膨大な魔力を視認し、そこから多量の魔力を送られてることを確認する。


「『幻狼フェンリル』。右の後ろ足を狙えるか?」


『よかろう。それなら朝飯前よ』


幻狼フェンリル』は、私の指示に従い、『合成獣キマイラ』の後ろ足を狙う。しかし、『合成獣キマイラ』は龍のような頭部で火を吐き出して応戦する。だが、『幻狼フェンリル』はそれを意図もせずに進み、『合成獣キマイラ』に突進しては、地面に叩きつける。

合成獣キマイラ』もまた、すぐに飛びかかり、『幻狼フェンリル』に突進する。すると、『幻狼フェンリル』はそれを避け近距離で火球を放つ。

 それによって、山羊のような頭部を吹き飛ばした。『合成獣』は、蛇のような尻尾で『幻狼フェンリル』の動きを止める。


「『幻狼フェンリル』!」


『ふん! これしきで我を封じようとは、だが、甘いぞ!!』


幻狼フェンリル』は、炎を纏うことで、『合成獣キマイラ』の拘束を解く。そして私は飛び上がり、ダーインスレイヴで『合成獣キマイラ』の右の後ろ足を切り落とした。


「これで、奴に付けられてた烙印は切除した。もう魔力を送ることはないだろう」


『なら、食しても良いのだな。主よ』


「そうしてもいいが、まだ早いだろう。それにたかが足一本で弱る奴ではない」


『それもそうか。仕方あるまい。もう少し遊んでやるとしよう』


幻狼フェンリル』は、手負いの『合成獣キマイラ』を襲いかかる。すると、『合成獣』は龍のような翼で飛び上がり、それを避けた。

幻狼フェンリル』もまた飛び上がり、『合成獣キマイラ』を追い回す。『幻狼フェンリル』は炎を吐きだすが、『合成獣キマイラ』もまた龍のような頭部で炎を吐き、応戦する。

 ぶつかり合う炎。そして、お互いがぶつかり合うことで爆散する。

 すると、『幻狼フェンリル』が突進するが、『合成獣キマイラ』はバリアを展開してそれを防ぐ。


『主よ! 今よ!!』


 私は、『幻狼フェンリル』の背中から飛び、ダーインスレイヴを『合成獣キマイラ』に向かって突く。可視化した中核部に向かって術式を唱えながら突きの構えで『合成獣キマイラ』を刺す。


「『グリモワル真書 第5節 『極点刺壊きょくてんしかい』』。中核部に向かって突き刺すことで、対象を必ず仕留める。

 これを受けたものは、どんなに強くても、一瞬にして抹殺させれる」


 私が、ダーインスレイヴを納めると、『合成獣キマイラ』は中核部を刺されたことで内側から四散する。

 そして、廃倉庫の辺り一面に、血の雨が振り注がれた。


『見事であったぞ。主よ』


「あぁ。次もお願いね」


 私を褒め称え、『幻狼フェンリル』は消滅する。さして、私は人が隠れてる場所へと向かう。  

   

「な、何よ! 来ないで!!」


 私は、隠れてた女子高生の所に向かう。彼女からして、血の雨をもろに浴びてる私を化け物と思われてるのだろう。


「来ないで!! 来るな、化け物!!」


「化け物か、今はそう思われても仕方ないだろう」


 私は彼女の拒絶も拒み、そのまま歩き出す。そして、私は女子高生の下にたどり着く。


「いいかい? これが終わったら、君のクラスのみんなに謝るんだ。何も悪いことじゃない。誰でもできる簡単なことだ。

 そして、今の自分にケジメをつけて、心を入れ替えて2度としないよう、新しい自分と向き合うんだ。

 罪を償い、このことをしかと胸に刻み、自分の戒めとして、その心に染み込むんだ」


「で、でもどうしたらいいの? わ、私、もう怖くて生きていけれないよ!!」


「大丈夫。君には良きパートナーがいるじゃないか? それでも不安かい?」


 ボロボロになったいた男子高生が、瀕死の体を動かし女子高生の所に向かう。


「ごめんな。俺がとめてやれなかったばかりに、俺も一緒に償うから」


 彼は女子高生を抱きしめ、彼女の涙を受け止める。これを見た私は、ラスティア達の到着を待ちながら一服をしようとした。

 その時だった。不良の男子高生が、ボロボロになりながら現れた。


「償う? 冗談じゃねぇ!! せっかく手に入れた力なんだ! また先生に教わって今度こそテメェをぶっ潰してやる!!」


「熱くなってるところ申し訳ありませんが、それはもうできませんよ」


 後ろから人の声が聞こえ、その場にいる全員が振り向く。すると、紫の長髪に、魔術院の礼装を纏った少女が現れた。


「――――――美羽か。珍しいね、君がくるなんて」


「やっぱりここにおいででしたか、キサラギさん。『合成獣キマイラ』の魔力を追ったら、あなたと出会うなんて」


「『仮面の魔女ジャンヌ』の言うとおり、来てたなんてね。それで、何のよう?」


 美羽は、布で巻かれたものを取り出す。よく見ると、下の辺りが赤く染まっていたのだ。


「丁度、日本の学生達に魔術を教えてた魔術師の処断を終わらせたので、その首を見せに来ました」


 美羽は、それを地面に投げる。それを見た不良学生は、布の中身を出す。


「――――――――――――先生!! どう言うことだ!! なんで先生の首が!!!」


「昨晩、私が処断した魔術師です。まさか、あなたがこれの教え子とは」


 どうやら、彼らに教えていた魔術師の首だったようだ。さすがの不良学生は、その場で嘔吐したようだ。

 斬首された遺体の頭部なんて、平和な現代ではそう簡単に見ないものだから、それもそうだろう。


「では、これは私が預かります。それと、一般人とて、私に対し攻撃を行った場合は、これと同様、あなたの首を斬ることで既成事実と承認いたしますので、そのつもりで」


「待ってくれよ!! 俺も先生みたく死ぬってことか!?」


「そうですね。ただし、それはことに限ります」


 不良学生は、恐怖の余り漏らしてしまい、その場を逃げるように去る。


「相変わらず、容赦がないね」


「えぇ。これもキサラギさんに仕込まれたものですので」


「はいはい。では、ここを去るとしよう。そうしないと、警察が来てしまう」


「また『虚数空間』を展開してないんですか? 全くあなたという方は」


「――――――すっかり忘れてた。次は気をつけるよ」


 私たちは、この場を後にする。そして、ラスティアが車で迎えにやってきたみたいだ。

 こうして、この不可解ないじめ問題は、ようやく終焉を迎えたのであった。   

            

             

 

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