幕間2【草薙美羽視点】

PM 8:00 札幌市内のホテル


 探索を終え、一息をつけるため、ホテルに戻る。今頃キサラギさんは、例のいじめを大仕上げに入ってるところだろうか。

 そう考えてると、窓から気配を感じ、窓を開ける。すると、フードを被った1人の少女が立っていた。


「エイルかしら? そっちの進捗は?」


「これはこれは、お姉様でございましたか」


「そういうにはいいから、報告して」


「失礼。では、ご報告を申します」


 エイルは、淡々と報告を始まる。


「現状、奴はアジトとしている場所からは動いておりません。夕方、そちらに例の学生たちがそちらに入っていったとオルトリンデから報告があり、私もそちらに急行いたしました所、無いやら何かの魔術を仕込んでいたそうです。

 現在も、オルトリンデには奴のアジトを監視させている状況にございます」


「そこが、奴のいるアジトとなるわけか。他の子達はどうなってる?」


「スルーズとヒルドは、憑依した生徒達から離れ、オルトリンデと合流しております。最も、私が彼女達を読んだのですが」


「なるほど。では、いつでもいけるっと言うわけね」


「左様でございます。どうなさいますか?」


 私は、少し考える。だが、考えはすぐに決まった。


「今から向かうことにしましょう。エイル、あなたは先に向かい、彼女達に待機するよう伝えて」


「承知いたしました。しかし、お姉様をどちらに?」


「少し寄り道してから向かうわ。顔を出しておきたい人がいるわけだし」


 エイルは、頭を下げると、そのまま飛んでいく。私はルームキーを取り出してはホテルを後にする。

 すすきのの街を歩くこと、数分。多少古びたビルの中を入ると、その奥に彼女の工房がある。


「あら?珍しい客ね。なんのようかしら?」


「お久しぶりです。まだここに居たとは、驚きました」


 彼女、『仮面の魔女』の工房に訪れる。しかし、相変わらずこの人はあの人以外には無愛想であった。


「それで? 用は何かしら? 何なら、さっさと去ってもらってもいいかしら?」


「例のいじめ事件に関して、あなたの知ってることを聞きたくて、参った次第です」


「教える気はないけど、まぁいいわ。追ってるのは違うわけだし」


『仮面の魔女』は、例の一件を私に教える。あえて教えてもらうのは、この事件の大元は一緒だからだ。


「例の教室に張られていた術式は、アルがもう解いてるわ。けど、最後の一つが分からずじまいなわけよ。

 おそらくは、結界ですらないものが、あの教室にいると考えて良いわね」


「それを教えてるものがいるとしたら、仮に解かれてもまた張られる可能性も?」


「無くはないわね。でも、素人ならそんなすぐにはできないでしょう。けどあの年代の子達は何をするかはわからない、それだけが懸念よ」


「そうですね。なら、大元を潰せばもうやらなくなるのではないかと」


 私の言葉に、『仮面の魔女』は驚く。


「本気でやる気?」


「えぇ。少なくとも、キサラギさんなら、そうしますが?」


 私の問いに、『仮面の魔女』は高らかに笑う。


「ふふ、ふはははははははは!! これは傑作ね。確かに、アルならやりかねないわね。

 では、あなたが例の魔術師を殺しに行くことは、黙っておくわ。それなら、あのいじめグループの静止になるでしょう」


「ありがとうございます。では、代金は如何いたしますか?」


「アルにつけておくは。ではまたね『II位』」


 私は、彼女に一礼しここを離れる。そして、偶然見つけたタクシーに乗り込み、奴のいる所へと向かう。

 タクシーをおり、奴のいるアジトに着く。


「姉様、遅いよ! いつまでまたせるの!?」


「ヒルド、落ち着きなさい。申し訳ありません。ヒルドが我慢できなくて暴れかけてる次第で」


「いいわよ。オルトリンデ。状況は?」


 緑髪の『妹達ヴァルキリー』、オルトリンデは私の問いに答える。


「現状、今も動いておりません。攻めるには好機かと」


「そうみたいね。エイル、あれを」


 エイルは、私に紫の帯が巻かれた魔具を差し出す。ヒルドが待ってましたと体を動かす。

 こうして、私は『妹達ヴァルキリー』を率い、魔術師のアジトの乗り込むのだった。                           

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