第16話1年ぶりに再開した幼馴染が人気モデルだった件

「えっとね……夏くんに会いたくて来ちゃった!」

「そっか、来ちゃったか〜」


いや、来ちゃった!じゃなくね?

おかしくね?

いやね、俺も夏休みの間だけ遊びに来た的な感じなら全然理解出来るけど、この部屋の感じアレだよね?

引っ越してきちゃった的な感じだよね?

俺の見てない間に何があった?

そんなノリと勢いで変なことする子では無かったよね?


そんな訳で1年とちょっとぶりに再開した幼馴染が、美人で頭のおかしい子になっていて困惑していると、件の人物が隣に腰掛けてきた。


「ねぇ夏くん……」

「うん?」

「私どう?」


そう言って上目遣いで美香がゼロ距離で見つめて来た。


「うぇ!?」


例えそれが長年の仲良くしていた幼馴染とは言え、いきなり美人にゼロ距離で上目遣いをされて照れない男性などいる訳もなく、その例にも漏れず恥ずかしくなった夏樹は顔を少し赤らめて美香の顔から視線を外した。


「ど、どうって何がだよ?」

「………………。」

「な、なぁ?」

「………………。」

「お、おーい聞いてるか美香?」

「………………くなった?」

「ん?ごめん今何て言った?」

「私可愛くなったかな?」

「えっと……まぁ普通に可愛くなったと思うけど……。」

「そっか!」


そう言うと美香は明らかに声のトーンが上がり、元気よくベッドから立ち上がった。


「よかった!それじゃあ朝ごはん食べよっか!」

「お、おう……」


結局美香の奴は何が聞きたかったんだ?

そんな事を考えながら夏樹は美香の後に続いて部屋を出た。


「朝ごはんは目玉焼きと味噌汁と、夏くんはご飯とトーストどっちがいい?」

「えっと…………じゃなくて、何さらっと朝食食べようとしてんの?まだ俺が美香の家にいる理由聞いてないんだけど?それと白ごはんと目玉焼きは塩胡椒で」

「何でって昨日夏くんの部屋行った時、夏くんが玄関で倒れてたから私の家まで連れて帰っただけだよ?はい!これご飯」

「そっかー!とはならないからな?え?何でそこで俺を連れて帰るって判断になるんだ?それとご飯ありがとう」

「だって久しぶりに会ったし……」

「いや全然納得出来ないからね?」


何この女怖っ!

普通に不法侵入と拉致監禁じゃん!

もし俺達が幼馴染じゃ無かったり、性別が逆だったら即通報案件だぞ?


「あ、美味い……」

「本当!」

「あれ?美香って料理美味かったっけ?」

「実は夏くんに食べてもらう為に練習してたんだよね!」

「へ〜ありがとう。めちゃくちゃ美味いよ。特に味噌汁の塩分加減が最高だわ」

「へへへ」


そうして夏樹と美香の2人は朝食を食べ終えた。


「それじゃあそろそろ帰ろうと思うんだけど、お前んちってどこにあるんだ?」


帰り道を調べようとスマホを取り出すと、美香はもう帰るの?と少し不満そうな顔をしながら答えてくれた。


「隣……」

「ん?」

「夏くんの隣の部屋」

「んんんん??????」


それを聞いた夏樹はその事実に驚きながらも、何処か納得出来るところも今までにあった事を思い出した。


そうだ!最初に美香の部屋を見た時に少し見覚えがあったのは、部屋の内装は違えど間取り自体は自分が住んで居る部屋と同じで、例え俺が痩せ型だとしても美香が倒れている俺を自分の家に連れ込むには、結構力も居るしそれに俺の家との距離が離れれば、流石にその途中で俺が起きているはずだし。

そう考えれば同じマンション内に住んでいるのも納得……


「できるか!」

「わっ!」

「いやお前!まじか!お前!隣って!と言うか美香お前よくこのマンション借りれたな、ここ結構高いぞ?お前の家ってそんなに余裕あったか?」

「びっくりした、急に大声上げないでよ!それとお金は大丈夫だよ、私これでも結構人気なモデルだし」

「モデル……モデル?モデルってあのモデルか?」

「うんそうだよ」

「マジか……」


1年ぶりに再開した幼馴染が人気モデルだったって、なんてエロゲ?


「何かよく分かんないけど美香、お前すごいな……」

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