第15話 NYの切り札

NY構成員「すみませんが、リーダーは長らく不在です。」

12月2日午後3時、慶と好が従業してくれるので、俺恋と良で奥羽 零から聞いた情報を頼りに立川第3ビルに向かうも、事務所の電話番にそう言われた。

白神 恋「どこに居るのかは聞いていないのか?」

NY構成員「いえ全く...向こうとの連絡はいつも一方的なもので。でも恐らく、都内にいるものと思われます。」

白神 恋「そうかぁ。」

田沢 良「どうする?」

白神 恋「会津高原に会うしかないだろうな。彼女が斑目さんや一連の出来事について知ってるかはともかく。」

田沢 良「ここでやれることといえばそれくらいかぁ〜。よし、こんな時こそ。」

白神 恋「ああ、あれか。」


田沢に事前に手渡しされたもの、それは片眼鏡とインカム(警察などが耳につける、マイクとイヤホンのやつ。)の付いたものだった。

田沢 良「ただの片眼鏡じゃないよ。いわゆるAR技術で、AI版ティンカーベルみたいなのが出てくるよ。名前はアイ。呼んでみて。」

白神 恋「ああ、AI。」

アイ「お疲れ様です。こちらAIピクシーのAIです。何かお手伝い出来ることはありますか?」

白神 恋「この辺り一帯で、黒装束で首元を刺青てる女に関する情報を集めてくれ。」

アイ「かしこまりました。...立川駅周辺で2件ほどの情報がありますね。新しくて1時間前ほどです。」

白神 恋「そうか。まあ、行ってみるか。」


立川駅に着いてみると

白神 恋「うへぇ、こんなにいるのか。多摩地区だからって舐めてたな。」

割と人がいて困惑した。

田沢 良「ごめん。僕には無理な領域だった。それじゃあ先に帰って、遠距離から連絡するよ。あらかじめそのガジェットにはカメラがついてるからね。」

白神 恋「そうか。分かった。」

1人になって心細くなったが、仕方ない。元々無謀前提だし。


捜索から1時間が経つも、全然見つかる気配がなかった。一応このガジェットから良とアイも探してるはずなんだけどな。

白神 恋「気が遠くなりそうだ...。」

でも次いつ奥羽が帰ってくるか分からない。やはり今この立川にいる可能性が高い会津高原に会うしかない。

NY構成員「おい。」

そう思っていた時、突然呼ばれたような気がした。

NY構成員「お前か?NYを探ってるのは。」

NYの構成員らしき人達だった。

白神 恋「いや?そんな事ありませんけど。」

NY構成員「嘘つくな!お前のことなんかお見通しなんだよ!」

何を根拠にと思ったが、コンビニのアルバイトしてたら1人は見かける、会話が通じない人種だと気がつく。

NY構成員「ちょっと面を貸せ。」

田沢 良「(マイクから)どうやら面倒事に巻き込まれたようだね。それじゃあ、ガジェットの本領を見せてみようか。」


人気のないところに連れていかれ、

NY構成員「NYの恐ろしさ、思い知らせてやれ!」

田沢 良「始まったね。それじゃあ、アイに効率的な対処法を検索してもらって。」

白神は指示された通りにした。

白神 恋「アイ、頼む。」

アイ「はい。...画面に映ってる線が、勝機です。」

白神 恋「なるほど。」

その線通りに、相手は攻撃を仕掛けてくる...そしてそれを躱しながら、首筋、腿、後頭部を打撃して言った。

NY構成員「な、なんだと...。」

田沢 良「よーしよし。よくやった。成功作だな。」

アイ「やりましたね!マスター!」

あっさり落ちた。あの程度ならアイに教えてもらわなくてもノーダメで行けたな。

???「天下を目指してる組織が、数人係で下っ端1人相手にこうとはね...。」

すると突然、女性が現れた。首はネックウォーマーで見えないが、黒装束だ。

白神 恋「もしかして、貴方が?」

会津高原 希「ええ、会津高原。切り札とか呼ばれてる。...試したような真似してごめんなさい。」

白神 恋「それは理由を聞いてから判断するとして...場所を移そうか。ジェヘナでいいか?」

会津高原 希「構わないわ。久しぶりにあの子たちに会いたいし。」



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