第2話 百合で仲良くなれば良いじゃん
今日は土曜日。静ちゃん・紗香ちゃんが俺達の家に遊びに来る日だ。さすがに毎週ではなく、参加メンバーの都合次第だけど…。
俺達4人は混浴した仲だから、何でも気兼ねなく話せる。これからもこの関係が続いてくれると良いな。
約束の時間のほぼ同時刻に呼鈴が鳴り、光が出迎えに行く。そして、静ちゃんと紗香ちゃんが俺の元に来た。
この家はマンションで、1Rより少し広いスペースにキッチン・トイレ・風呂がある感じだ。4人が集まるには狭い空間だが、俺は悪いと思っていない。
何故なら、トイレ・風呂以外はいつでも光の姿が見られるからだ。最愛の妹がほぼずっと視界に入るなんて最高じゃないか!
折り畳み机を囲んで座る俺達4人。光がお菓子とジュースを用意して机の上に置く。
「紗香ちゃんって、ここに来る時お母さんになんて言ってるの?」
良い機会なので訊いてみた。
「『友達の家に行く』だけど?」
「照。お母さんにはバレてないから安心して」
「ああ…」
もし紗香ちゃんとの関係を根掘り葉掘り訊かれたらヤバいんだよな…。
「光ちゃん、相談したいことがあるんだけど…」
静ちゃんが口を開く。
俺はともかく、大学内で彼女は光とほぼずっと一緒にいるらしい。にもかかわらずここで話すのか。
「どうかした?」
「バイト先の女の子と仲良くなるにはどうすれば良いかな?」
「その女の子は、どういう子なの?」
「わたしと同い年で、わたしよりちょっと後に入ってきた子なんだけど、話すきっかけがなくて…。その子の指導は先輩がしてるから…」
同い年なのは自己紹介で知った感じか? 歳が近いと親近感がわくし、仲良くしたいよな。
…そういえば、光と静ちゃんが仲良くなった1番のきっかけは『体育のペアで一緒になったから』だった。(第1部 3話参照)
それ以外も、光が行動を起こしたことで親睦を深めたらしい。その子と仲良くなるには、静ちゃんが行動を起こさないとな…。
「お姉ちゃん。その人と更衣室で一緒になる事はあるの?」
紗香ちゃんが質問した。
「たまにかな。シフト次第なんだけど…」
彼女は何でそんな事訊いたんだ?
「仲良くなるには、やっぱり百合でしょ! あたしもそうしてきたし!」
「そんなの無理だよ!」
静ちゃんが強く否定するのは当然だ。1歩間違えたら仲良くどころか嫌われる。
「紗香ちゃん。そうしてきたってどういう意味?」
光がすかさずツッコむ。
「そのままの意味だよ? 体育で着替える時にその人の下着が見えたら、色々訊いてみるの。それで反応が良かったら、レベルアップしていって…」
「紗香。まさか手を出してないよね?」
心配そうな顔をする静ちゃん。
「他の人が近くにいる時に手は出さないって。2人きりの時はするけど♡」
紗香ちゃんが他の子を百合の道に引き込んでいる…だと?
「百合をきっかけに仲良くなったクラスメートはそこそこいるの。光さんのおかげだよ~。本当にありがと!」
「私は大した事してないよ。お兄ちゃんに喜んでもらうために一生懸命やっただけだから…」
「照の変態っぷりが、回り回ってあたしのためになるなんてね…」
最後に俺がけなされるオチかよ。別に良いけどさ。
「という訳で、お姉ちゃんも頑張って色々しなよ」
「絶対無理!」
“紗香ちゃんの行動力凄いな”と思いながら聴く俺だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます