第20話 ついにそれを知ったか…

 静ちゃん・紗香ちゃんと混浴してから数日後の平日。学校が終わって帰宅すると、玄関に静ちゃんの靴がある。


光に構えないのは残念だが、友達と過ごす時間も大切だ。そう思いながら靴を脱ぎ、自室前に着いてから扉を開けると…。


「あ、お兄ちゃんおかえり~」


「お邪魔してます…」


光と静ちゃんは、何故か俺の部屋でくつろいでいた。


「2人とも、何でここに?」


「だって、お兄ちゃんの匂いに包まれたいし♡」


「恥ずかしながらわたしも…」


静ちゃんには、混浴の時に裸を見られている。裸以上に恥ずかしいことはないから良いけどさ…。


「お兄ちゃん。静ちゃんが相談したいことがあるから聴いてくれるかな?」


「もちろん良いぞ。着替え終わったら聴くよ」



 俺が着替えてる間、静ちゃんはチラ見・光はガン見してきた。そんな事されるとムラムラするじゃないか! 静ちゃんが帰ったら相手してもらおう。


「それで静ちゃん。相談したいことって何かな?」


「実は紗香のことで…」


静ちゃん・紗香ちゃん姉妹は性格がかなり違うし、悩みも多くなるだろう。


「この間の混浴の帰り、紗香が照さんに“キス”について訊いたのを覚えてますか?」


「もちろん覚えてるよ」

千夏さんが玲さんにキスしたのがきっかけだな。


「紗香がクラスメートの女の子に、キスの感触とかについて聞き回ったらしいんです」


キスは映画やドラマの演出でよくあるから、訊くハードルは低めかもしれない。


「その際、ある女の子がについて話したようで…」


「アレ?」


静ちゃんは顔が赤くてモジモジしているが、覚悟を決めてから…。


「〇ックスのことです。『キスの後にもやっちゃった~』みたいなことを話したそうです」


ついにそれを知ったか…。その後の行動が気になるところだ。


「紗香ちゃんがその話をしてから、目立った変化はあった?」


「いえ、特には。ですが紗香のことだから…」


さすがに“体験したい”とは言わないだろうが『観たい!』なら言いそうだな。


「照さん、わたしはどうすれば良いんですか?」


紗香ちゃんは、気になる事はとことん追求するタイプだ。それは彼女と接してきたからわかる。だからごまかすのは厳しいはず。


小6という歳を考えたら、話だけじゃなくて実際に見せるのもアリか? その時にの重要性とか問題性を訴えれば…。


だが、それには光の協力が欠かせない。2人きりの時に話さないとな…。



 「静ちゃん。ひとまずこのまま様子を見ようか」

俺達から行動を起こす必要はない…と思う。


「それで良いんですか…?」


「あくまで“ひとまず”だよ。紗香ちゃんが気になる行動を起こしたら、すぐ光に教えてね。光もすぐに俺に伝えて欲しい」


俺と静ちゃんは連絡先を交換してないので、光を経由することになる。


「わかりました…」


「オッケ~♪」


後は紗香ちゃん次第だ。彼女がどうするか、温かく見守ろう。

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