第17話 温泉で遊ぼう

 銭湯『千夏と千春』が提供している貸し切り温泉は、多分一般的な俺の家の風呂より3倍くらい広い感じか。湯船も同じようにデカいと思う。


広さ以外の違いは、シャワーが並んで2台あることと温泉のかけ流しがあることだ。


俺と光はかけ湯をしてから湯船につかる。場所はもちろん隣同士だ。


「気持ち良いね~」


「そうだな」

まさに極楽だ。


「お兄ちゃん、今度2人きりで来るのはどうかな?」


「もちろん良いぞ」


浴室や湯船が広いだけで、こんなに開放的になるとは思わなかった。貸し切りだから時間を気にする必要はないし、汚してもすぐに洗い流せる。


俺達の新たな刺激に、一役買ってくれるだろう。



 ……浴室の扉が開き、静ちゃんと紗香ちゃんが入って来た。


俺は2人の水着に驚いた。何故なら…、共に紺のスクール水着姿だからだ。まさかこの場で観ることになろうとは…。


2人もかけ湯をして湯船に入ってから、静ちゃんは俺達と反対側の奥に、紗香ちゃんは光の隣に移動する。


「は~、極楽極楽~」


紗香ちゃんの顔は緩んでいる。見ていて微笑ましい。


「紗香。お母さんみたいなこと言ってる」

クスッと笑う静ちゃん。


「3人で風呂に入ったことあるの?」

小さい頃は母さんと入るだろうが、3人同時に入る機会ってあるか?


「数年前に家族旅行した時にあります。そこにも温泉があったんですよ」


「なるほど…」

旅行なら納得だ。



 「そういえばさ~」

紗香ちゃんが思い出したように言う。


「さっきの人が『4Pしに来たんでしょ?』って言ったけど、あれどういう意味?」


フロントで古賀千夏さんが言っていたな。どう説明しようか?


「“4人で遊ぶ”ってことだよ」

この説明なら、どう解釈されても間違っていない…はず。


「遊ぶ? 温泉って遊ぶところじゃないよね? 遊園地ならともかくさ~」


鋭いツッコミだ。紗香ちゃんは、気になることはとことん追求するようだ。


「温泉でも遊べるよ。〇首クリクリとかがあるじゃないか」

になるが、遊びには変わらない。


「…今の2人になら、すぐできるね」

彼女はニヤッと笑い、俺と光を観る。


スクール水着を着ている静ちゃん・紗香ちゃんと違い、俺達は裸だ。当然〇首は晒し続けている。


「それ~」

紗香ちゃんは俺と光の間に移動し、片手で俺達の〇首をクリクリする。


「紗香ちゃん、お返しだよ~♪」

光もスクール水着越しになるが、彼女に同じことをする。


光はお返しをしたが、俺が手を出すと浮気になるから今は我慢して受け続けるしかない。溜まったムラムラは、後で光に発散してもらうとしよう。


「お姉ちゃんも一緒に遊ぼうよ~」


「わたしも…?」

急に話を振られて戸惑う静ちゃん。


声をかけることで、1人ポツンといる彼女をこっちに呼びたいのかな?


「静ちゃん。無理してやらなくて良いから、もうちょっとそばに来てくれると嬉しいな。離れてると寂しいからさ」


「わかりました…」

彼女は少しだけ俺との距離を詰めてくれた。



 「もう♡ 紗香ちゃん、意外とテクニシャンだね♡」


紗香ちゃんは俺が何もしてこないのが不満なのか、光に集中攻撃し始めた。彼女の顔を観る限り間違いなく感じているが、そばで見守る俺は複雑だ。


感じてる顔を俺以外の人に見せて欲しくないものの、百合のステップは進んでいるからだ。後は、紗香ちゃんが気持ち良くなれば良いんだが…。


静ちゃんは熱い視線で2人のやり取りを見つめている。彼女も責めたいのか責められたいのか…。声をかけると2人の邪魔になりそうだし、このままで良いか。


今の内に、今後の百合計画でも考えておこうかな?

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