第16話 小学生はヤバいって!
ある祝日。俺・光・静ちゃん・紗香ちゃんの4人は、銭湯『千夏と千春』前に到着した。
ぱっと見、建物は大きくないがキレイな感じだ。小汚いところだったらどうしようかと思ったが、その心配は無用だな。
「あたしが一番乗りだ~!」
紗香ちゃんが先に入り口の自動ドアを開けて、店内に入っていく。
「紗香ちゃん元気だね~」
「そうだな」
ああいう妹も悪くない気がする。
「すみません、紗香が迷惑をかけて…」
申し訳なさそうな顔をする静ちゃん。
「全然気にしてないから。ね? お兄ちゃん?」
「もちろんだ。元気なのは良い事さ」
小6にしては子供っぽいと思うが、気にする事じゃない。
「ありがとうございます…」
紗香ちゃんを見失わないよう、俺達も店内に入る事にした。
店内もとてもキレイだ。入ってすぐのところだから、おそらくフロントだろう。
……マッサージチェアでのんびりしている女性がいるな。他には新聞やテレビを観たりおしゃべりしている人達も見かける。
ここは憩いの場として愛される感じかな?
…紗香ちゃんは受付近くで待機中だ。早速向かうとしよう。
受付に1人の女性がいる。歳は20代前半から真ん中あたりか? 左胸に『
この銭湯は一部を貸し切りに出来るらしいが、急な申し込みがあるケースを想定してるらしく、ネット予約は不可とのこと。電話予約は苦手だから除外した。
もし空いてなかったら、後で来るか近場で遊べば良い。混浴は全てじゃないからな。
「あの…、貸し切りの温泉は空いてますか?」
「空いてるけど…」
古賀さんは俺達全員の顔をジロジロ見る。
「君、歳いくつ?」
彼女は紗香ちゃんに向かって言う。
温泉に年齢制限があるのか? そんなの聴いたことないけど?
「小6!」
「あんた。いくらアタシがエロに寛容といっても、小6はヤバいって!」
いきなり何を言い出すんだ? この人は?
「何の話ですか?」
「4Pしに来たんでしょ? ウチの貸し切りを使いたがるのって、男1人と女数人のハーレムばっかだからさ~」
今の俺達は男1人と女3人だが、そういう目的で来たんじゃない。
「他の人は知りませんが、俺達は違いますよ」
光以外の女子に手を出すなんてあり得ないからな!
「ふ~ん。一応忠告したからね」
「えーと…、結局空いてるんですか?」
見兼ねたのか、光が古賀さんに尋ねる。
「空いてるよ。場所が分かりにくいと思うから、アタシが案内するわ。付いて来て」
古賀さんは廊下にかかってる男女の暖簾前を通り過ぎ、端にある扉の前に止まる。こんなところに貸し切り温泉があるのか?
「ここが貸し切り温泉がある“プライベートルーム”よ」
彼女は説明してから開錠する。
「カギはあんたに預ければ良いよね?」
「はい」
この中で俺が年長者だからな。
「ごゆっくり。けど、カギ失くすんじゃないわよ」
古賀さんは俺に注意してから立ち去った。
「早速入ろうか」
「そうだね」
俺が扉を開けて入ってから、光・紗香ちゃん・静ちゃんの順で続く。
施錠してから奥に進むと、ちょっと広い空間に出た。左右の壁それぞれに壁棚があり、サイズが異なるタオルが棚の中に置いてある。
…洗面化粧台も2台あるな。これも左右それぞれだ。洗面化粧台そばにある扉が浴室に通じていると思う。
「ここ、仕切りとかカーテンがないんですね…」
静ちゃんがキョロキョロした後つぶやいた。
彼女と紗香ちゃんは、恥ずかしいから水着を着て混浴することになっている。着替えを見られたら意味ないよな。
「静ちゃん。俺と光は先に浴室に向かうから、ゆっくり着替えて良いよ」
俺達がいなければ、気にせず着替えられるだろう。
「わかりました…」
俺が壁棚に荷物を置くと、光は俺の隣に来た。反対側に静ちゃん・紗香ちゃんがいる。うまく2:2に別れたようだ。
俺と光は、ためらいなく服を脱いで全裸になる。
「外でお兄ちゃんの裸を見るのって新鮮だね♡」
「俺もそう思ったところだ」
雰囲気とかムードは大切な存在だと気付かされる。
「それじゃ行こうか」
「うん♡」
俺達は洗面化粧台そばの扉を開ける…。
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