第4話 仲良くなるおまじない
光の友達の静ちゃんが「話し相手になってくれたお礼をしたい」と言ってくれた。少し話しただけだが、彼女は間違いなく良い子だ。
そんな静ちゃんと光にしかできない事を今頼もう!
「光。机を挟まずに、影山さんと向き合って欲しい」
俺はあぐらの上に座っている光にお願いする。
「オッケ~」
彼女は俺の指示に従ってあぐらから降り、座っている静ちゃんの目の前に移動する。
「2人とも、両手を胸の前あたりにキープして」
…お互い何も言わずに従ってくれる。次が最終段階だ。
「光は影山さんの両手を包み込むように握ってから、彼女の顔を見つめるんだ。影山さんも光の顔を見つめてね」
本当は「キスをして」とか「お互いの敏感なところをいじって」とかをお願いしたいが、それは追々だ。今は静ちゃんにバレない程度の百合で我慢しよう。
百合というのは、男立ち入り禁止の世界だ。だからこそ興味があるんだが、可愛い光の相手になる女子は誰でも良い訳じゃない。俺のチェックに合格した女子だけにその権利はあるのだ。
静ちゃんは見事合格した。なのでこうしてお願いしている。
…光が俺のほうを一瞬観てウインクした。さすが俺の妹、早くも意図に気付いたか。
一方の静ちゃんは呆気に取られている。きっと彼女の頭の中は『?』で支配されてると思う。そんな静ちゃんのために、バレない程度に説明しないと。
「影山さん。俺が君にお願いしたいのは『これからも光と仲良くして欲しいこと』なんだ。今やってるのは2人が仲良く居続けるためのおまじないさ」
果たして、この説明を信じてくれるかな?
「そうなんですか…。わたし、光ちゃんともっと仲良くなりたいので、おまじないもっとやって下さい」
おお、好感触じゃないか! 思わず暴走しそうになるが、冷静に対処しないと。
「影山さんの気持ちは嬉しいけど、おまじないは少しずつやらないと効果がないんだ。一夜漬けで覚えたことはすぐ忘れちゃうだろ? それと同じさ」
静ちゃんが次を求めてくるのは予想外だから、咄嗟にこう言ってしまった。これだと1日1回しかできないじゃん! 俺のバカ!
…今更言い直せないし、お楽しみタイムが長くなると思えば良いか。何事も考え方次第でプラスにもマイナスにもなる。
「なるほど…。急ぎ過ぎちゃダメなんですね」
「そう言う事」
静ちゃんは納得してくれたし、それで良いや。
お楽しみタイムが終わった後、俺は光の部屋を後にした。ずっと俺がいたら静ちゃんが疲れると思ったからだ。慣れないことは、身体・メンタル共に負担だからな。
自室でゲームをしていると、扉がノックされ光が入って来た。
「静ちゃん、帰ったよ」
「そうか…。俺の事、何か言ってたか?」
女子2人になった途端に辛口コメントが始まったかもしれない。
「『優しそうな良いお兄さんだね』だって。静ちゃんも見る目あるよね♪」
「良かった…」
嫌われてないことがわかっただけで一安心だ。
「それより、お兄ちゃんって百合に興味があったんだね。知らなかったよ」
早速あの件に触れてきたか。今まで話したことないし、気になるのは当然だよな。
「俺が男に生まれた以上、百合に関われないからな。言っても無駄だと思ったんだ」
「そっか…。今日の私と静ちゃんの百合は満足できた?」
「大満足だ! これからも頼んで良いか、光?」
「もちろん良いよ。 私にはよくわからないけど、お兄ちゃんが嬉しそうだと私も嬉しくなるから♪」
光は本当に最高の妹だ! 最高以外の言葉が思い付かないのが悔しいぞ。
「けどお兄ちゃん。もし私が百合にハマったらどうするの? お兄ちゃんとより、静ちゃんといる時間が長くなっちゃうよ?」
「その心配はしていない。光のことを信頼しているし、静ちゃんは光の奥まで届くものを持っていないからな。光を本当に気持ち良くできるのは俺だけだ」
「…そうだね、お兄ちゃん♡」
光が抱き着いてきたので、ゲームを早々に終えてベッドに直行した。
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