第3話 慣れた後に訪れるお楽しみタイム
静ちゃんは男に興味があると言っても、マスコットのように愛らしく、大人しい性格の持ち主だ。俺から話を振って緊張をほぐしてあげよう。
「
「いえ…。いつも『お兄ちゃん』って呼んでるので…」
「そうか。俺の名前は“
「照…」
静ちゃんの表情を見るに、しっくりこない感じか?
「珍しい名前でしょ? 親から聴いたんだけど、名付ける時に明るいの“
「そうなんですか…?」
「うん。だって、誰とも被ったことないからね。俺は個性を大切にするタイプなんだ」
そう考えるからこそ、シスコン・ブラコンの兄妹が存在する訳で…。
「ちなみに、光の名前は即決だったらしい。光って良い名前だよな」
父さんと母さんは良いセンスをしてる。
「お兄ちゃんの『照』も良い名前だよ♪」
光が振り向いて俺の顔を観ながら言う。
「嬉しい事言ってくれるじゃないか光」
「お兄ちゃんこそ♡」
「……」
静ちゃんは俺達のイチャイチャを見つめている。
いかんいかん、光の友達をスルーしちゃダメだ。今回は聞き手になってもらったから、次は静ちゃんにいろいろ話してもらおう。
「影山さんと光が友達になったきっかけって何なの?」
これなら話し手にならざるを得ない。
「そうですね…。たくさんあるんですけど、一番は体育のペアが光ちゃんだったことです」
体育のペアか。話す機会は多いと思うし、友達のきっかけになるだろう。
「他のきっかけも教えてくれる?」
「えーと…、入学式で教室がわからなかったわたしを助けてくれたり…」
かなり前から顔見知りだったのか。
「光ちゃんとは今も隣の席なんですけど、落とした消しゴムを拾ってもらったり…」
「傘を忘れた私に、相合傘してくれたこともあったよね」
光が補足する。
女子2人の相合傘だと? ヤバい、妄想が次から次へと…。自重しなければ!
「…大体そんな感じですね」
「なるほど、教えてくれてありがとう。影山さん」
女子校にいれば、そういうトラブル? も付き物だよな。もしかしたら、本人達が自覚してない百合展開があるかもしれない。…妄想が止まらないぞ。
「あの…、お兄さん…」
静ちゃんが遠慮がちに呼んできた。
「どうしたの? 影山さん?」
「話し相手になってくれたお礼をしたいんですけど、思い付かなくて…。わたしどんくさいけど頑張るので、言って下さい」
お礼? ちょっと話し相手になっただけなのに、静ちゃんは良い子だな。光の友達に相応しい。そんな2人だからこそ頼めることがある。
最初だし、ドン引きされない軽いやつにするか。ようやくお楽しみタイムが来たって訳だ!
「わかった。早速言うよ…」
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