海に行きたい2人

 夏の真昼、二人は海に繋がるあぜ道を小走りで駆けている。


 遊ぶのだろうか、それとも見るのだろうか。少年が少女へ海のことを無邪気に話している。


 うちわも持たず飛び出したのだろうか、二人は汗だくで、短い袖で顔の汗を拭っている。


 深緑しんりょくの山、の空、天高く登る真っ白な入道雲。そんな夏の世界の、どこまでも広がる海を目指して少年少女は駆けていく。


 時々風で飛びそうになる麦わら帽子を手で抑え、さらに少年は走る。少女のずいぶん先の方で、少年は小さな両腕を大きく振って、少女が来るのを待っていた。

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一人一人の日常世界 ロクボシ @yuatan

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