7話。

「…………し、喋ったあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


 余りの衝撃に素晴らしい、と言う前に口からコアが飛び出る勢いで驚きを表現してしまった。


 あり得ない!確かに上位種には知性があり、自我もある。しかし幾ら上位種であっても骸骨スケルトンは言葉を発することはなく、仲間との意思疎通は人間には理解できない念話テレパシーで行っているというのが通説だった。過去に存在した骸骨スケルトンで如何に進化していようと言葉を発する個体がいたなどという話は聞いたことがない!私が聞いたこともないというのに、この世に言葉を話す骸骨スケルトンがいる訳がない!だが今ここに、こうして立っている!私でさえ知り得なかった存在が、私の前にいるのだ!これがダンジョンの恩恵なのか!?もうこの際理由は何でもいい!この素晴らしいオリゴスが存在するという事実だけで私の以前の研究成果を遥かに上回っているのだから!


「す……す……素ンッッッッッッッッ晴らしいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


 先ほどから頭蓋骨の目の窪みに灯りっぱなしの炎を爛々と輝かせながら自らの生み出した上位種へと口癖であり、最高の賛辞である言葉を投げ掛ける。傍目から見ればただ頭蓋骨が叫んでいるだけではあるが、私が叫ぶということはそれだけ相手に対しての賞賛になるのだ。


「オリゴス!ああ、オリゴス……!君と出会うことができて本当に、心から嬉しく思う!ああまったく本当にどうして今の私には手足が存在しないのか!今すぐにでも君の手を取って熱い握手を交わしたいというのに!とにかく!君の捧げた忠誠は受け取った!あいにく私は騎士ではないから儀式や通例なんかは分からないが、君が忠誠を誓う限り私の全身全霊を以て君の忠心に応えよう!これからよろしく頼むよ、オリゴス!」


「ア、有リ難キ幸セ……。」


「そんなに畏まる必要はないぞオリゴス!そういえば命令が欲しいということだったな?ふむ、どうしたものか……君のことについて根掘り葉掘り、骨堀り髄掘り聞いてみたいところなのだが……まずは君の配下とも呼べる彼らを鍛えて貰おうか。まだ彼らの中には君のように剣を振ってみせるどころか、剣に振り回されている子も多いみたいだから。」


「畏マリマシタ……。」


 私の命令を受けてオリゴスは大剣を鞘に納め(その所作すら美しく感じた。)、剣の修練を行っている骸骨スケルトン達の方へ向かっていった。そう、オリゴスの進化に気を取られている間にも私が呼び出した骸骨スケルトン達は懸命に剣を構えたり振ってみたりと修練をしている最中。中には何とか剣を振るときの制御に取り掛かる子もいるようだが、半分ほどはまだ構え、からの剣を振ることすら覚束ない様子なのだ。


 しかし骸骨戦士スケルトン・ウォリアーどころか数段飛ばしで現れた骸骨将軍スケルトン・ジェネラルであれば、きっと彼らもすぐに剣の扱いを修め骸骨戦士スケルトン・ウォリアーとしてオリゴスの軍団の一員として活躍してくれることだろう。ゆくゆくはオリゴス骸骨騎士長スケルトン・ノーブルが率いる骸骨騎士スケルトン・ナイトの一個旅団、いや一個師団、いや師団を数個率いる大将軍になって貰いたいものだ。そしてその圧巻な光景を私に見せてほしい。欲を言えば、敵を粉砕するところを見せてほしい。


 はあ……それにしても、なんという艶のある骨格。是非とも頬ずりくらいはさせてほしいものだ。何せ私が現状できることと言えばそれくらいしかないのだから!折角だから修練がキリのいいところまで行ったらオリゴスを呼び出して、本人に生まれた時の感覚や覚えていることを事細かに伝えて貰いながら色々と堪能させて貰おう。言葉を話す骸骨スケルトン等初めての経験なのだ。たっぷりと活かさなければ!

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