第3章 天気予報

第1話 お伺い?

早央里さおり先生、この予定確認してもらえませんか?」


「え?……あー、うちの学年の遺跡見学学習の日程ね……そっか、今年は6年団の校外学習の担当は、北野きたの先生だったものね」


「ええ、例年ですと今月の中頃にやっているんですよ……おおよその日程と見学依頼は済ませてあります。後は、この中のどの日程で行うかだけなんです」


「そっか、相手の都合もあるからね~」



 僕は、相手の都合のいい日を聞いて、その中から見学日を選ぶことにしていた。


 期日は、再来週の水曜日、木曜日、金曜日のどれかだ。まず、校内の予定を見ながら、自分達6年の都合の悪い日は無いか調べてみた。


 幸い、この3日間は、どこを見学日にしても、1組も2組も3組も予定は空いている。そこで、学年主任の早央里先生に意見を聞くことにした。



「えーっとね、北野先生、ちょっと天日去あびこ先生に相談して見たら?」


「え?天日去あびこ先生って、音楽担当の先生ですよ?校外学習の相談したって、迷惑なんじゃないですか?」


「まあ、いいから、いいから。ちゃんと、遺跡見学の事も話すんだよ、いい?」


「はい、わかりました。相談してみます」







・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「あのー、天日去あびこ先生、ちょっと相談があるんですが……」


「なあに、私にできることかしら?」


「うちの主任の早央里先生に、言われたんですけど、遺跡見学の日程の相談をして来なさいって…………ご迷惑じゃないですか?」


「ふーん、サオちゃんがね~…………」


「サオちゃん?」




「あ、気にしないで、彼女とは前の学校で一緒だった時期があってね、それ以来仲良くしてるのよ。それで、いつなの?」




「再来週の水、木、金のうち、どの曜日がいいか迷っているんですよ」


「この3日間のどれかにすればいいのね!……どれ、どれ……」



 音楽室でピアノの練習をしていた天日去先生は、その場で壁にかかっているカレンダーを眺めて、考え出した。

 しばらく、カレンダーと睨めっこをしていたと思ったら、急に月めくりカレンダーの再来週の木曜日に赤丸を付けた。


そして、笑いながら「ここ!」とだけ、言った。


「え?ここって?」


と、僕は聞き返してしまったが、彼女は、またすぐにピアノを弾き始めてしまった。


 仕方がないので、そのまま僕は音楽室を後にした。



 すぐに、そのことを早央里先生に話すと、「じゃあ、木曜日でいいんじゃない」と言って、その場で決めてしまった。

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