お兄ちゃんと危険なお風呂

「捕まえた~! トモちゃん慌ててどこに行くのかなぁ~?」


『ンーッ!!』


 弟を後ろから羽交い締めにすると咄嗟に口を手でおさえた。友葵は腕の中で暴れながらジタハタと抵抗した。口から少し手を退かすと、友葵は「やっやっやっ!」と言いながら騒いだ。


「あは~? 何が嫌なのかなトモちゃん? そんなに照れちゃって可愛いな~! さあ、お兄ちゃんと一緒に仲良くお風呂に入ろうね??」


 半ば強引に浴槽に入れると友葵は逃げ場を失ってハジッコの隅で警戒した表情を見せた。俺はワル顔でニヤリと笑いながらほくそ笑むと、弟の前で堂々とシャワーを浴びて直ぐに浴槽に足を入れて入った。


「ん~、良い温度だねぇ。トモちゃんと一緒に入るのは久しぶりかな?」


「……」


 友葵は俺の言葉に反応せずに、いまだに隅で警戒していた。


「もしかしてさっきのこと怒ってるの?」


「う、うん……。だって優希お兄ちゃんがボクのゾウさんを撫で撫でするから――」


「あれぇ、そうだったかな?」


「うん……!」


 その話しに惚けたフリをすると、友葵はムスッとした顔で頬っぺたを膨らました。


「それさぁ、トモちゃんの気のせいじゃないの??」


「ちっ、違うもん……! トモちゃん嘘ついてないもん! 優希お兄ちゃんがボクのゾウさんを…――!」


 友葵が大きな声を出すと、俺は慌てて口を手で押さえた。





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