屋上で。

「克巳……なんと言うか、災難だったな…――? むしろ逆に、うちの弟がすまない事をした……」


 優希は克巳からその話しを聞くと、申し訳なさそうに声をかけた。


「ひっぐひっぐ……お、俺はアンタの弟にオナニーをしているところを見られて、頭が真っ白くなった……! しかも、アンタの弟は無邪気な顔で聞いてくるんだ! ねえ、克巳お兄ちゃん。何でゾウさん弄ってるの?って無邪気に聞いてくるんだ……!! だからとっさに言っちまったんだ! 男の子は誰でもオナニーをするってな! ついでにオナニーの意味が知りたければ自分のお兄ちゃんに聞いてごらんて、つい言っちまったんだよ!」



!!!!!!!



『うわぁあああーーん! やっぱり部屋に鍵をかけとけばよかったぁああっ! もう立ち直れそうにもねぇーーっ!!』


 克巳は取り乱すと、泣きながら屋上のフェンスによじ登ろうとした。優希はとっさに彼を後ろから引き止めると、背中からおさえてフェンスから引き摺り降ろした。


「バカ野郎……! 俺の弟にオナニーを見られたからって、自殺を図る奴がいるか!!」


「だ、だって俺……! ガチで見られたんだぞ、お前の弟に……!? そんな姿を見られて生きていられるかっ!!」


「この大バカ野郎ーーっ!!」



バキィッ!!



 優希は取り乱すと、親友をあえて拳で殴った。

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