第25話『HY先生』

 最寄りの病院に転院して以来、私をずっと診てくれている先生が居る。

 それがHY先生だ。男性の先生で、眼鏡を掛けている。私の人生で眼鏡の男性に対する遭遇率が高いのは気のせいだろうか。

 正直、私は今先生に恋をしている。しかし、そこに患者であるという事は忘れていないのが私らしいのかもしれない。HY先生は既婚者なのでもちろん手は出さない。けれど、片思いするのは勝手だと思っているのは私だけだろうか。

 HY先生は今の病院に転院してからずっと担当を外れた事はない。私もHY先生の所に真面目に通っているつもりだが、HY先生もそろそろ理解している。ああ、この子はこういう子なのだなぁと。

 それでもHY先生の髪形が変わったり、様子が気になる私はちょっと危ない患者かもしれない。だから、中々HY先生との距離が縮まらないのがもどかしい。

 先生は、割と私の言う通りに診断書などを書いてくれる。そのおかげか、精神障害者手帳は二級、自立支援医療も途切れた事はない。HY先生も真面目なタイプだなぁと思っているが、たまにクシャッと笑う顔が子供みたいで可愛い所がある。そこが私のお気に入りで、私はあの手この手で先生を笑わせようとしている辺り、これは診療ではなくどちらかというと喜劇だ。

 ギャラリーはHY先生一人だが、それで満足している私が居るのも否めない。

 そんなHY先生だが、有名な大学や病院での職務経歴があるため、その点は信用している。

 ただ、一言言わせて欲しい!

 やっぱり先生笑うと可愛いよ?

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