第24話 帰還 (終話)

穏やかな風が流れる。

あれからぼくたちはイリエ村に帰ってきた。

魔王はおそらくいないだろう、と仮定されて村に戻ってもよいと判断されたのだ。

何かあったら呼び出されるかもしれないけれど…。

それに、シオリが不安定な精神状態になってしまい一刻も休息を取りたかった。


「久しぶりだね…。」


「うん‥‥。」


小さなぼくの家。

シオリは家の中でのんびりとしていた。

まだシオリは元気が無いが、ここにいれば調子が戻ってくるだろう。

ぼくは何があっても彼女を守らないとならない。

もう何もないと思うけど…。


「明日は森へ行こう。散歩しようか。」


シオリはこくんと《うなず》頷いた。

そういえば隣のケイ叔母さんが、成長したシオリを見てびっくりしていたが、まあいいか。


久しぶりの穏やかな日々を過ごしたい。

村に住んでいた頃は、この生活が当たり前だったのにそうじゃなかったんだな。

贅沢ぜいたくな日々。

ぼくはシオリとの生活がこんなに贅沢な事だとは思わなかった。

ずっとここにいたら気が付かなかったかもしれない。


「フォレス優しい顔してる。」

シオリはにこっと笑った。


体は大きくなってもシオリはそのままだ。

ぼくはぎゅっとシオリを抱きしめた。


「フォレスだあいすき。」

無邪気に言うシオリ。


「ぼくも大好きだよ。」



****



「付き合い始めたんですか?」


ローズがワットを連れて家へやって来た。


「そうなの、何だかねぇ?」


「そりゃないでしょ。ローズさん。」


泣きそうな声を出すワット、あれこんな人だっけ?

因みに以前シオリに惚れていたのは、シオリの魅了の魔法にかかっていただけだったようだ。

ホッとしたけど。

結婚したら尻に敷かれるタイプかもしれない。

そう思うと可笑しかった。


「貴方も少し、元気になったじゃない。」


「え?」


「気が付いてないと思うけど、あの後、だいぶ参ってそうだったからね。良かったわ。」


「あの、有難うございました。ここに住めるように言ってもらえて。」


ローズは、王様に ”村に戻った方がいい” と口添えしてもらったのだ。

だからぼくたちはここに帰ってこれた。


「結婚式には是非呼んでくださいね。」


ローズとワットは二人で顔を見合わせる。


「そうね。そうなったら来てね。」


「元気になったシオリさんと一緒にな。」


その時はぼくとシオリは仲良く暮らしているだろうか。

ぼくは思いをせた。




☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


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ぼくと猫耳少女の異世界スローライフ 月城 夕実 @neko6

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