第23話 勇気ある者

「さあ、着きましたよ。」


オリットはフードを取り二人に話しかけた。


「ああ、返事は出来ないのでしたね。失礼しました。」


じめじめした暗い場所で。


「明かりを付けましょうか。」


「ファイヤボール…」


火の玉が形成されて

オリット、ディエント・アルキリーは燭台に明かりを付けた。

洞窟の中に祭壇がある。

3人は祭壇の中心に立っていた。


「話しかけて反応が無いのはつまらないものですね…。」


「まあ、いいでしょう。ワット、勇者シオリを殺しなさい。勇者の命で魔王様が復活されるのです。」


「ころ…す?シオリ…を?」


ワットはほとんど意識が無い状態のはずだが、シオリの名前に反応する。


「それ‥は‥できな‥い。む…り…。」


ガクッと肩を落とすワット。


「変ですね‥魔法の効きが悪いのか?仕方ないですね‥手は汚したくなかったのですが…。」


ディエントはワットの剣を抜き取った。


「勇者の命が魔王復活に不可欠なのです。悪く思わないでくださいよ。シオリ」


剣はシオリの喉元に当てられていた。


やっと、今まで恋い焦がれていた魔王様に会える…。

クックックッ‥‥。

そう思うと笑いが止まらなかった。




「シオリ―――――――――――!」


突然ローズとフォレスが空中から現れた。


「……転移魔法だと??ばかな!」


焦ったディエントは剣を落とす。


「させるものか!」


フォレスはディエントを蹴り飛ばす。

ローズはその隙にシオリを保護した。


「何がどうなってるんだ?まあいっぺんに殺せばいいか。」


ディエントは詠唱を始めたが、直ぐにフォレスはディエントに風の魔法を放つ。


ディエントは岩壁に叩きつけられる。


「私もいるんだからね、容赦しないよ。」

ローズは氷魔法をディエントに放つ。

ディエントはそのまま氷漬けになり死亡した。



****



「この度は申し訳なかった‥‥。」

深く頭を下げるワット。


「まあ、オリットに操られていたようだし仕方ない?よ。」


シオリはローズの解呪魔法で意識を取り戻していた。

ただ、その時の会話は覚えていたようだ。


「魔王復活の為?私を殺すとか…言ってた…。」

シオリは青ざめている。


「そういえば…ローズさんて転移魔法使えたのですね…。」

ワットが言葉を挟む。


「あ、あれね…実は私じゃないの…フォレスなの‥。」


「え…と無我夢中で出来ちゃいました…。」


「「ええええ??」」


シオリも大概だと思っていたけど、フォレスもどうなってんの?

勇者ってシオリって思っていたけど、もしかして?


フォレス、ステータス見てみて?


「ステータス」


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フォレス16歳 人間 勇気ある者

HP 350/400

MP 120/500

スキル 鑑定 剣技

魔法属性 火魔法、土魔法、風魔法、転移魔法

-----------------------------------------------------


「え?」


「やっぱりね。勇者ってね、勇気あるものなのよ。強いからとかそういう事じゃないの。」


「さあ、どう報告しようかしら。」

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