第12話 最初の森

「あれ?ここは…。」

見たことある場所。

いつもまきを拾っていた森だ。

どうやら城から移動してきたらしい。


シオリは気を失っていた。

魔法を使ったからだろうか。


ここから以前住んでいた家は遠くない。

シオリをおぶって家まで運んだ。

最初シオリに会った時も、森で倒れていたところを運んだんだっけ。

あれから1年しか経ってないんだな。



****



クリミア城では二人がいなくなったことで大騒ぎになった。


「先ほどまでいたのに‥どうしたことだ??」

騎士団長のワットが困惑していると‥。


「恐らく転移魔法ね。」


城に呼ばれていたAランク冒険者、ローズが言った。


それにしてもあの子やるわね。

前はそんな魔法持っているとは思わなかったけど。



****



「シオリ気が付いた?」


「あ、あれ私‥。」


シオリはぼくの家のベッドに寝かせていた。

「魔法使ってから倒れちゃったんだよ。魔力枯渇こかつってやつかな。さっきの使わない方がいいかも。」


「そっか。」


シオリは穏やかな表情になっていた。

家に来たから安心したのかもしれない。


「少し休んだ方がいいかもな。」

ぼくはシオリの頭を撫でる。


「前から言おうと思ったんだけど・・私の事、子供扱いしてない?」


「子供だろ、10歳だし。」


「……。」


シオリの顔は真っ赤だ。


「もういい!」

ぷいっと横を向く。

ぼく何か悪いことしたっけ?


「それにしても‥部屋、意外と綺麗なんだよな。どうしてだろ?ほこりがたまってても不思議じゃないのに?」


久しぶりの家でくつろいでいると、ドアが開いた。


「物音がすると思ったら、帰ってきたんだね。」

隣のケイ叔母さんが、顔をのぞかせた。


「あ‥。」


「家は綺麗きれいにしておいたから、あまり汚れてないだろ?またいつでも帰ってこられるように。」


そっか‥そういう事か。


「お久しぶりです。ケイ叔母さん掃除してくれてたんだ、ありがとう。」


「勝手にやった事だから、お礼なんていいよ。」


ケイ叔母さんはそれだけ言うと帰ってしまった。


「良い人だね。」


「うん。そうだね。」


穏やかなイリエ村、ぼくはこの村が大好きだ。

何も無いところだけど、人々がみな優しい。

出来れば迷惑かけたくないな。



****



数日後、深緑の髪の女性が、イリエ村を訪れた。

偶然来たかのようにふらっと現れる。

ローズは、ぼくに何を言うでもなく、他愛のない話をしてきた。

時折、シオリの体調を気遣いながら…。


「何か困ったことがあったら言ってね?いつでも相談に乗るから…。」


「あ、あのっ!」

シオリが口を挟んできた。


「‥城を逃げ出してしまって、私だけじゃなく、フォレスにも迷惑かけて‥どうしたらいいのか‥。」


「この世界だと死刑とかになるんですか?」


シオリは涙ぐんでいた。

そういえば、王様に反逆したことになるのか?

シオリの体調が心配で‥考えてなかったよ。


「シオリ、落ち着いて?大丈夫だから。」

ローズがなだめる。


「城から居なくなったことも騎士団長に上手く言っておくし、大丈夫だから。お姉さんに任せておいてね?」




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