第11話 王城へ呼ばれた

「これから、是非城に一緒に来ていただけませんか?」

ワットが言う。

丁寧に頼み込む口調だが、これは命令だ。

仕方ない。


「どこへ行くの?」


「お城に‥多分王様とかに呼ばれる感じ?」


勇者っていったら、王様みたいな。

これからどうなるんだろう。


馬車に揺られて着いたのは…。

意外にも教会だった。

正確には大聖堂。

ここに何があるというのだろう。


「おお!勇者よ!」

大神官ハーネスが声を上げた。


「間違いは無いか。」


「確かに間違いはない、勇者であろう。」

どうやら確認のために寄ったらしい。

再び馬車に乗せられた。



****



クリミア城


「確かに間違いは無いのだな?」

エリル王は騎士団長のワットに念を押す。


ぼくとシオリは、玉座の前で膝をついていた。(実際にはワットの真似をしろと言われて真似をしていただけなのだが。)


「ご苦労だった。勇者よ鍛錬たんれんに励むとよい。」


「下がってよいぞ。」



ぼくたちは部屋に案内された。


緊張した…。

「これから、どうなるのでしょうか。」

ぼくはワットにたずねた。


「悪いがしばらく王城ここにいてもらうしかないかな。」


「逃げないように?」


「‥方針がまだ決まっていないのもあってな、悪いようにはしないから。」




ぼくたちには一室があてがわれた。

客人の扱いでしばらく過ごすらしい。


「むむ…。」

シオリが何か言いたげな顔をしている。


「勇者って何?自由無くなるの?」


「村にいる方が良かった…。」


「ごめんな‥シオリ、村にいたら、また騎士の人が来ると思って逃げたんだけど‥。」


「考えが甘かったな‥逃げるなら山越えでもしないと‥無理だったかもな。」

とはいえ山越えなんて出来るわけが無い。

体力が無いシオリを連れて行くのは無謀むぼうだった。


「ごめん‥フォレスは私の為にしてくれたのに‥。」

シオリはうつむいて涙声だ。


ん?

シオリが一瞬光った気がしたんだけど‥。

「スキル付いちゃったみたい。」


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シオリ 10歳 猫族 冒険者 異世界転移者

HP 250/250

MP 500/500

スキル 家事、魅了、逃亡

魔法属性 火魔法、水魔法、風魔法、土魔法、光魔法、

転移魔法

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「逃亡スキルってなんだよ‥。」


「多分逃げられるよ。」

シオリはにやっと笑った。


シオリは目をつむった。

ゲームのドラ〇エのあの魔法のイメージをする。

場所は最初にこの世界に来たあの森。

シオリはぼくの手をつかんだ。


「ルー〇!」


ぼくとシオリは光に包まれていた。






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