第9話 家庭教師
ぼくたちは、アドルの遊び相手をしている。
母親が亡くなって大分つらかったのだろう。
最初の態度は
一緒に勉強もしても良いとのことだったので、アドルと一緒に勉強させてもらっている。
特にシオリだけど。
シオリはイセカイテンイシャなので、魔法の知識がからっきしないらしい。
魔力はあるのにな。
シオリのいた世界は魔法がいらない世界だったのだろうか。
広い庭先、庭にはバラの花が咲きみだれていた。
良い香りだな。
「指先から足の先まで‥体内を循環しているもの分かりますか?」
家庭教師のローズ
深緑の髪、真っ白な瞳。
背が小さくてかわいい印象の人だ。
「目を閉じて集中して。」
基礎からの練習になる。
シオリはアドルにとっても同じ年なので、かえって良かったみたいだ。
「何で、フォレスは魔法の練習しないの?」
少しふてくされてるシオリ。
「何でって、必要ないからね。だって基礎からの練習だろ?」
「習うとしたら、もうちょっと進んだ頃に習いたいな。」
あれ、何だか落ち込んでいるような気がするが・・。
「何にも知らないで悪かったわね。」
アドルの方が魔法が上手だからかな?
仕方ないと思うんだけど。
「シオリさんは少々魔力が弱いですが、
ローズが気を使って言ってくれているが‥。
「優秀だから良いとか、強いから凄いとか、そういう事でもないと思いますので。」
説得力ない。
ローズはA級冒険者らしいのだ。
何で超初心者の家庭教師をしているのかというと、お給料が良かったからだとか。
「お金は大事ですよ。無いと困りますからね。」
そこは
実は見た目より年齢が上なのかもしれない。
女性に年齢を聞くのは
「火よ出でよ!」
アドルの指先から、火の
「アドルさん良いですね。上手に出来てますよ。」
「うう‥。」
涙目になってるシオリ。
「シオリさん、想像力ですよ。慌てなくて大丈夫ですから。」
「多分ガチガチに固まってるのかな‥シオリ肩の力を抜いて‥。」
ぼくはシオリの肩に触れた。
「シオリ、ぼくの手握って。」
「?」
シオリとぼくは手をつないだ。
ぼくは魔力を少し流し始める。
「分かる?これが魔力、つないだまま、魔法使ってみて。」
「えと、水よ出でよ。」
コップ一杯分の水がシオリの目の前に出現した。
「ほら、やれば出来るじゃないか。大丈夫だよ。」
シオリはぼくに抱き着く。
「良くやったね。」
ぼくはシオリの背中をポンポン叩いた。
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