第2話 異世界転移

「君のステータス見ていい?」


「‥うん。」


この世界にはステータス表示という便利なものがある。

シオリが今の状況が分からないと言っていたのもあって、見てみようと思ったのだが・・。

ちょっと人の日記を見るみたいで罪悪感はあるけど‥。

本人の許可も取ったことだし。


「ステータス、シオリ」


ぼくはシオリに向かって手をかざした。

ぼくは他人のスキルをのぞき見ることができるスキルを持っている。

だからよっぽどの事が無い限り使わないのだが。


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枝葉 しおり 10歳 猫族 異世界転移者

HP 30/30

MP 40/40

スキル 不明

魔法属性 不明

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「シオリ、イセカイテンイシャ、君って10歳なんだ・・もっと年上かと・・イセカイテンイって何だろう?」


「え?そんなまさか‥。」


シオリは押し黙ってしまった。

何かショックなことだったのだろうか。


「異世界とはここではない別の世界の事をいいます。そこから移動してきたってことみたいなんだけど・・何で猫族になってるの・・はっ!」


「私、猫になりたいって思っていたからか‥。」


シオリはさらに落ち込んでいるようだ。



*****



2,3日が経つとシオリは元気になった。

助けてくれたお礼にと、家の事も手伝ってくれるようになった。

「助かるよ。一人だと色々大変だしさ。」

何よりシオリの作る料理がとても美味しくて楽しみが増えた。


「ちょっと森へ薪取りに行ってくる。」

料理とか火を起こすのに薪は必要不可欠で、何日かに一度は取りにいかないといけない。


「行ってらっしゃい。」


笑顔でシオリに見送られる。

シオリが来てよかったって最近特に思う。

一人じゃないし、寂しくない。


最近は村の人とも上手くやっているようだし、良かった。

今日は帰りに隣の家から野菜をもらった。


「これ、どうやって料理するんだろ?」

紫の丸い野菜。

ツヤツヤしている。

ぼくはシオリに持って行った。


シオリは手に持つと

「これナスかなぁ?」

って言った。

ナス?って何だろ。

まぁいいか。


料理が出来るまでの間ぼーっとしていると何かを思い出した。


「そういえば、イセカイテンイって勇者とか魔王とかの物語に出てきたような‥。」

小さい頃、母親から聞いたことがあった気がする。


「勇者‥魔王‥?」


あれ、シオリおびえてるような・・何か変なこと言ったかな?


「物語だよ。おとぎ話。」


「そっかぁ。」

シオリはホッとしたようだ。


物語では勇者はメチャクチャ強いし、シオリは幼い子供だしね。

お陰でぼくは”イセカイテンイ”が何となく分かった。



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