第一章 03 「とある少女の悲劇」

燃え盛る炎を、少女は絶望の瞳で見続けていた。

燃えているのは彼女の住む集落の一角にあった民家。そして今まさに焼け落ちようとするそこには、集落に住んでいた人々、彼女の愛する両親の遺体が無惨に焼かれているのだ。


「ぁあ…ああああ‼︎」


跪き、涙を流し嗚咽しする少女。

その姿を下賤た笑みを浮かべ、盗賊の男達は愉しげに見下していた。

「そんなに泣くなよお嬢ちゃん。死体を焼いてやってるだけだろ?放って置いて獣に食われる方が嫌だろうが」

「そんだぞ女、頭は慈悲深いんだ。そこは感謝するところだ」

「「ガハハハハ‼︎」」

その物言いに少女の心には悲しみを上回る怒りが込み上げてくる。

「…このっ人でなし‼︎」

精一杯盗賊達を睨みつけるが、所詮は強がりでしかなかった。

相手は剣と弓矢で武装した十人の盗賊達、対して少女は戦う力を持たない非力な少女でしかない。しかもその腕は太いロープで縛られている。さらに首にも逃げられない様にロープが巻かれ、手綱は屈強な大男が握っている状態なのだ。最早、少女には彼等に逆らう選択肢は残されていなかった。

「っく…離してよっ‼︎」

「いいぞ、嬢ちゃん。絶望して死んだ目した女より、反抗的で活きが良い女でいてくれよ」

盗賊達の頭目である大男が嬉しそうに言うと、少女に結ばれたロープを勢いよく引っ張る。少女はなす術なく倒れ、首が絞まる苦しさに嗚咽した。

「ひぐう⁉︎っげっほ‼︎げっほ…」

「そうじゃねぇと犯しがいがねーんだ‼︎オメェがブッ壊れるまでの付き合いになるんだ。なるべく長く保ってくれよな、ガハハハ‼︎」

男は倒れている少女をロープで引きづり移動を始める。

「んぐ…やめ‼︎ぐるじぃ…‼︎」

「ガハハハ‼︎さっさと起きて自分で歩かねーと死ぬぞ⁉︎」

これから待ち受ける自分の運命、その辱めを受けるくらいなら死んだ方がマシだと心では思う。が、それでも目の前にある死の恐怖に勝てず、立ち上がってよたよたと男に従う弱い自分を怨んだ。



頭目は少女を集落の家畜小屋まで連れてくると、彼女の手をロープで柵にくくりつけて固定した。まるでこれから種付けされる家畜の様な状態にされた事が、少女の心を恥辱と恐怖に染め上げる。


「かーちゃんエルフはうっかり殺しちまったし、お嬢ちゃんの方が俺好みな別嬪だからな。エルフなんざなかなかお目に掛かれねぇ。暫くは俺様専用にしてやる。だが飽きたらアイツらに卸すから、せいぜい努力しろよ?」

ニチャニチャとした笑みを浮かべ、頭目は少女の特徴的な長い耳を舐め凌辱し始める。

「嫌よ‼︎やめて‼︎」

「ひっひひ‼︎見れば見るほど可愛い顔じゃねーか。唆るぜ‼︎」


気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い‼︎


「おえええ‼︎おっげ‼︎」

下半身を這いずる舌の感覚に少女は盛大に嘔吐する。が、頭目はそれすらも余興と楽しげに笑い、行為を止めなかった。

「さてよ、一気に女にしてやるから感謝しろ‼︎」

ついに頭目が硬い何かを少女に押し付ける。その感覚に少女は盛大な悲鳴を上げ叫ぶ。

「いやああああああ‼︎」

全てを失う瞬間を少女は恐怖した。


だが一秒、二秒と経ってもその瞬間がやってこない。

代わりに何かが倒れる大きな音だけが、家畜小屋に響いたのだった。




〜〜〜〜〜〜〜〜〜


バイオレンスな異世界なのでここから表現キツめです。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る