第5話 あをによし

「あの頃の僕は」


※※※※※※※※※※※※※※※


十八歳の春。

降り立った駅は。


故郷とあまり違い無い。

小さな街でした。


桜がひらひらと。

舞い散っていたのを。


かすかに。

覚えています。


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第1話 何も無い僕 


あをによし

散りゆく桜

僕を今 


あをによし

ちりゆくさくら 

ぼくをいま


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第2話 震える指で


僕は書いた。

ノートいっぱいに。


沢山の文字。


腱鞘炎で。

指が震えたけど。


僕は書き続けた。


十八歳の夏。

何を目指していたのでしょうか。


※※※※※※※※※※※※※※※


第3話 風が無い夏


夏風や

立ち止まる僕

何処を見る


なつかぜや

たちどまるぼく

どこをみる


※※※※※※※※※※※※※※※


第4話 下手なデッサン


一生懸命。

描いても。


僕の絵は。

教室の片隅。


残された作品群。

その中に。


いつも。

埋もれていた。


十八歳の夏。

僕の未来は。


あの雲よりも。

儚く。


余りにも。

儚く。


漂っていたのです。


※※※※※※※※※※※※※※※


あとがき1


ネタバレは。

つまらないですよね。


説明すると。

なぁんだと。


気持ちが冷めてしまうでしょう。


だから。

読んでいただくことはありません。


今宵も。

ハイボールに酔った僕が。


綴った、くだらない。

歌ですから。


※※※※※※※※※※※※※※※


十八歳の時。

受験に失敗して。


東京の予備校に通うために。

上京しました。


ところが。

降り立った駅は立川。


今とは比べ物にならないくらいの。

田舎臭い駅でした。


それでも。

ボロアパートの傍の川に。


桜並木から。

花吹雪が散っていたのです。



あとがき2


これは僕の「予備校物語」。


愚かな僕は。

父の勧めるままに。


美術系建築科を目指しました。


理系と。

美術。


両方の大学を受験するために。

予備校も二つ。


早稲田予備校と。

立川予備校に。


通いました。


いくら頑張っても。

結果が出なくて。


つらい、つらい。

一年でした。


それでも。

今は宝物のような時間だと思います。


ハイボールの酔いで。

思い出すほどに。


ではでは。

お休みなさい。


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