配信者メルメル 4
「どっもー。初めましての方も昨日ぶりの方もこんちは!メルメルです!今日はソラスティー大陸でも有名な温泉街、ノイルに来ています!」
>>嘘だろメルメル。お前この空気のなかでやるんかwww
>>バッカwwwバッカwww
>>両隣見てみ?バッチバチやで?
「ひゃ、ひゃわわわわ、、、、、、」
「・・・」
「ちょっと!二人とも!!喧嘩しないの!!」
>>蛇に睨まれた蛙じゃんwww
>>天破斬に睨まれたマスター
>>マスターが天破斬に怯えとる。貴重な映像だな
>>だな。ほんとなら殴り飛ばしても可笑しくない
>>あのマスターにもこんなピュアッピュアな頃があったんだなって、、、
>>草
何故かマスターちゃんを睨み付けるユーちゃん。それに怖がり私の背中に隠れるマスターちゃん。それを見てさらに睨み付けるユーちゃん。以後繰り返し。
「もー!!今日はいつもよりたくさんの視聴者さんが来てるんだからね!?ちゃんとし、て、、、って!まだユーちゃんの紹介してない!!!」
私はユーちゃんの肩を持ち、ぐいっとカメラに体ごと向かせる。
>>ぐいっwww
>>むすっとしたままこっち向けられとるw
>>なんで目隠ししてんのにこんなに表情わかるのwwww
「・・・」
「ユーちゃん、一緒に配信するんじゃなかったの?」
黙って立ってるユーちゃんに、声をかける。
「メルメルと二人が良かったの」
「マスターちゃんも、私の友達なんだよ?仲良くできないなら辞めておく?今回はマスターちゃんと二人でやるから」
「それはもっとやだぁ」
むっすぅ~と、ザ・不機嫌です!って表情で、ユーちゃんは自己紹介を始めた。、、、コメントにもあったけど、なんでこんなに表情わかるんだろ?目隠ししてるのに。
「はぁ。プレイヤーネーム、ユースティア。メルメルの親友。配信する理由は私が掲示板で言われてるような奴じゃないってのをこの大陸のプレイヤーに知らせるため。よろしく」
>>手遅れ定期
>>は~じゅんっ!討伐で噂が噂じゃない(もっと厄介)って広まってるんだよなぁ
>>は~じゅんっ!念入りに殴り倒しといてよく言うwww
>>あらやだ奥さん。天破斬さんが何かおっしゃってますわ
>>やーねぇ
「はいっ!!今日ノイルに来たのは他でもなく三人の仲を深める為です!!ノイルには、プレイヤー用に薄い服を来たまま温泉に入れる施設があるので、そこに行きます。もちろん。撮影の許可は貰ってますよ?」
そこから私たち三人は温泉施設へと向かった。道中、ユーちゃんがマスターちゃんを脅かしたり、威嚇したり、こちょこちょしたり、それに怯えたマスターちゃんに引っ張られて目が回ったり、、、まあ、いろいろとたいへんだった。
「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ、、、、って、なんで私移動するだけでこんなに疲れてるの!?」
「め、メルメルちゃん。温泉入って疲れをとろ?」
「メルメル、疲れたの?いけないね。ほら、入ろ?」
原因君ら!!
そこから私たちは温泉に入った。
「ふ~あったまるぅ~~」
「ぽかぽかしますねー」
「服着てるせいで泳ぎにくいなぁ、、、」
「ユーちゃん!?泳いじゃだめだよ!?」
>>草
>>こうして見ると天破斬ってただの可愛い女の子だよな
>>↑尚戦闘力は考慮しないものとする。
>>温泉か。俺もソラスティー選べば良かったなぁ
頭にタオルを乗せて温泉に浸かる私とマスターちゃん。ここ、とっても気持ちいいんだよね。私もマスターちゃんもとろけ顔になってる。
ユーちゃんは一人でプカプカ泳いでる。本当は泳いじゃ駄目なんだけど、リアルだと優ちゃんは泳げないから。嬉しそうなユーちゃんを見てるとあんまり強く注意できない。
三人で暫く温泉に浸かってると、配信開始前までの嫌悪感はずいぶんと薄れていた。このまま打ち解けて、三人で仲良くできるといいなぁ。
「あ、あの!」
意を決した表情をしたマスターちゃんが、私の方を見て呼び掛けてきた。
「えっと、私。来週から始まる、その、βプレイヤーの追体験?みたいなのができるイベントに、参加しようと思ってて、、、よ、良かったら!メルメルちゃんm
「マスター」
興奮からか、緊張からか。顔を真っ赤にして話していたマスターちゃんの言葉を、ユーちゃんがぞっとする程冷えきった声で遮った。
「それ以上言ったら、潰す。それは、だぁめ。わかった?」
「は、わ、わ、わわわわわ、、、、、、」
温泉に浸かっているのに、表情を青ざめさせたマスターちゃんが、私にしがみつく。
端から聞いていた私ですら心臓が止まるかと思う程、その時のユーちゃんの声は冷たかった。
>>怖っ!!
>>ん~まあ、気持ちはわからんでもない。
>>どうして?
>>選ぶ相手にもよるけど、数十年、下手したら数百年帰ってこれないイベントだからだよ。
>>やるなら自己責任。興味本位でついていくことも挑戦することもお勧めせんよ。
チャットの意見はおおむねユーちゃんに同意みたい。
怯えきったマスターちゃんと、ピリピリとした気配をまとったままのユーちゃん。辺りはしんと静まっている。
「ふぁぁあい!!!この話題おしまい!!!!ユーちゃん!マスターちゃん!お互いの好きなものは?交流!折角なんだから楽しもうよ!!」
そこから、私がやいのやいのと騒ぎ立てて、最終的にはいい感じの空気で終われたと思う。あれ以降、ユーちゃんとマスターちゃんは二人なりに打ち解けて、結果オーライになれたんじゃないかな?
「よし!今日の配信はここまで。ご視聴ありがとうございました!ではまた~」
なかなか視聴者さんたちの反応も良かったし、また三人で配信できたらいいな。
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