プレイヤーイベント戦@西方1

「どっもー。初めましての方も昨日ぶりの方もこんにちは!メルメルです!今日はプレイヤーイベント戦に参加します!」


「あっえっと、マスターです!今日もよろしくお願いします!」


今日はロロさん?主宰のプレイヤーイベント戦。公式イベントはもう少し後だから、こうした知名度を上げられる大規模イベントはとてもありがたい。

きっと盛り上がるだろうし、配信中はみんな参加してて見てくれないかもだけど、アーカイブならたくさんの人に見てもらえる、、、はず!


それから私たちは、喋りながら開催の2時を待った。


2時になった時、遠くにピンク色のスライムが現れた。


「・・・・・・」


「あれがは~じゅんっ!?」


「だ、だと思うよ?えっと、なんで動かないんだろう、、、」


「ね?」


〔あーあーあー。これは聞こえているのか?〕


〔聞こえてないよ?〕


〔聞こえてないのか(´・ω・`)〕


〔戦闘中のプレイヤーの邪魔になっちゃうからね~〕


〔そうか。ならば仕方あるまいな。さて、自己紹介といこうか。私は西覇ソラスティー第一騎士団騎士団長を勤めている。アーツだ〕


〔うい。解説の湯煙 泉です。現地の人には発音しにくい方もいるらしいのでその時はフィエルタって名乗ってます。因みにアーツが実況です〕


「ええっと、、、開始から5分経ちました。は~じゅんっ!はまだ動いてない、です」


「な、なんでだろうね?」


は~じゅんっ!は、さっきからぼーっと空を見つめたまんま動いてない居ない。バグ?なのかなぁ。周りにいるプレイヤーにも、そわそわしてる人がたくさんいる。


〔5分経過。まだ動かんな。泉、どうなっている?〕


〔ごめん。わかんない〕


〔ふむ。非常事態か?いざとなれば代役を用意せねばならないな〕


「・・・余はな、思ったのだ。このまま温泉ぬるま湯に浸かっている生活で良いのかと。それを善しとした時、未だ虐げられる同胞スライムはどうなってしまうのかと」


凛とした高い声で、は~じゅんっ!ちゃんの演説?が聞こえてくる。かなり離れてる筈なんだけど。


「ねね、メルメルちゃん。こ、これ、大丈夫なのかな?は、は~じゅんっ!ちゃんの体とか服に、どんどん色がついていってるよ?」


「ほんとだ!な、なにかのスキルなのかな?」


〔泉、あのは~じゅんっ!の変化、どうなっている?〕


〔あっ?えっ?うそぉ、、、昨日まで大丈夫だったんだけど、、、種族【大スラ天魔王】の封印が解除されたみたい?〕


〔種族特性一つの無効化だったか?温泉スライムのステータス低下に使われれば、、、〕


〔逃げていい?〕


「余はな、聞こえるのだ。今も苦しむ同胞スライムの声が。余にはな、見えるのだ。眼前に広がる毛無しザル元凶どもの姿が」


は~じゅんっ!ちゃんから、ブワッて、圧が広がった。


「メメメメメルメルちゃんん!?に、にに逃げた方がいいんじゃないかなぁ!」


「き、奇遇だね!マスターちゃん!わ、私もおんなじこと考えてたんだぁ!あ、あはははは、、、」


その時、私たちの反対側、集まってたプレイヤーの左側の半分が吹き飛んだ。


「きゃ、キャァァァァァ!?」


「に、にに逃げるよぉ!?マスターちゃん!!」


そ、そうだ!森!レーリアの森なら隠れられるかも!


〔なあ、私はは~じゅんっ!というのに初めて会った故、あまり詳しくないのだが、、、暴走、しているよな?〕


 〔そ、そそそそそそ、そんなことないよ?〕


 〔ではその動揺はなんなのだ?〕


 〔あばばばばば。、、、って、私だって聞きたいよ!昨日までただ温泉に浸かる温泉スライムで、、、他の温泉スライムとも見分けつかなかったし!〕


「跪け毛無しザル人類。泣き詫びろ毛無しザル人類。さぁ、蹂躙を始めようぞ」


ぎゃぁぁぁ!!!怖い!怖いよ!一撃一撃でプレイヤーが100も1000も吹き飛んでる!あえ?吹き飛ばされた人が微妙に何人か生きてる?、、、弄ばれてる!!


〔、、、私が出ようか。さすがにこれではイベントとして成り立たんだろう〕


〔え?アーツ、多分は~じゅんっ!の方がステータス高いけど、、、〕


〔人類が魔物より弱いなど常だ。それに兄が泉のところの学園にいるだろう?例えば兄のステータスがオール1だとして、勝てるか?〕


〔ステオール1の剣士さん?無理だよ。私がぼこぼこにされて終わる〕


〔私はそれの妹だ〕


〔おおー!、、、でも大丈夫っぽい?ほら、あそこに、、、〕


「、、、ねぇ、メルメル?」


突然呼ばれた気がして、私は走るのを辞めた。なんだか、聞き覚えのある声だったから。


「えっ!?ちょっわっ!」


どしゃんっ。

マスターちゃんが、私が急に立ち止まったのを見て、止まろうとして倒れた。おっちょこちょいだね。


「ねぇ、メルメル。なんで、またその泥棒猫といるの?」


今度は、はっきり聞こえた。この声は、、、優ちゃん!?


「えっゆ、優ちゃん!?ど、泥棒猫って?」


「メルメル、知り合い?」


起き上がったマスターちゃんが聞いてきた。


「うん。幼馴染みで親友。配信者をするときにアドバイスをくれたのも優ちゃんなんだ!」


って、さっきからリアルの呼び名で呼んじゃってる!ど、どうしよ。私優ちゃんのプレイヤーネーム知らないや。


「メルメル。そんなこと言って、誤魔化そうとしても駄目、だよ?私は怒ってるから」


ガサガサった草木をかき分けて、森から優ちゃん?が出てきた。背格好が似てて、両目を包帯でぐるぐる巻きにして隠してる。


「あっえっあっと。な、名前、わ、私は知らないので。お、教えて、貰えませんか?」


マスターちゃんが、優ちゃん?に聞いた。ナイス!これで私も優ちゃんのプレイヤーネームが知れる!


「、、、ユー。ユースティア。あなたが、マスター泥棒猫で合ってる?」


「えっ?あっはぃ、、、」


目線がわからないのにじっと睨まれたよう。背筋がゾクゾクする。

その時だった。



ズガァンッッ


て、は~じゅんっ!の一撃が降ってきた。


「ぎゃぁぁぁぁぁ!!!」


「キャァァァァァ!!!」


、、、野太い方が私です。私もマスターちゃんみたいな可愛い悲鳴を上げられるようになりたい。


「、、、あれ、あのスライム、邪魔だなぁ」


舞い上がった私をお姫様抱っこでキャッチした優ちゃん。ううん。ユーちゃんが呟いた。

そしたら、ユーちゃんが二人に割れた。


「えっ?」


「宵闇」


「はいはい。わかったわかった。スライムだと薄氷は相性悪いもんねぇ。私が行きますよぉっと。でさ、代わりにちゃんと、問い詰めておいて、ね?」


目隠しをしていない白いユーちゃんと、目隠しをした黒いユーちゃんに別れたユーちゃんの、黒いユーちゃんの方がは~じゅんっ!に向かって歩き出した。、、、あれ?なんで歩いてるだけのに所々姿が消えてるんだろ。


「メルメル。話す」


お姫様抱っこしたまま、白いユーちゃんが目線をあわせてじっと見つめられる。ユーちゃんとこうして目を合わせるの、初めてかも。

すっとユーちゃんの目線が私から外れて、地面に突き刺さってモゴモゴ言ってるマスターちゃんに向いた。あっ!吹き飛ばされた時にキャッチして貰えなかったから!


「泥棒猫について」


ところでユーちゃん、なんでマスターちゃんを泥棒猫って呼んでるの?あとそろそろおろして欲しいな?



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