第4話 あり得ないし許せない

☆長代友美サイド☆


もーーーーー!!!!!

何で女子にあんな事を言うかな!?

私は真っ赤になりながらそのまま友人達と触れ合う。


友人達は、大丈夫?、的な感じで私を見てくる。

私は、う、うん。暑いだけ、と返事をする。

恥ずかしさがマックスだ。


「.....」


私は恭三郎くんをチラ見する。

それから少しだけ落ち込む。

何故落ち込むのかというと.....それは。

恭三郎には彼女が居るから。


あの時。

私は告白そびれて成瀬さんと付き合い始めたと聞いた時には本当にショックだった。そんなに私は魅力が無いのかな、と思う程に。

正直魅力が無いのは分かる。

だから私は戦いに負けた。


「.....」


でも諦められない気持ちがある。

恭三郎の事は正直.....ナイーブな感じに思えるし。

私とは釣り合わないって分かる。

だけど私は恭三郎が好きだ。


何故私が恭三郎が好きなのかというと。

恭三郎が倒れた私を介抱してくれたから、だ。

1年生の時の話である。


それから私は王子様の事を聞いてから恭三郎に接触して。

何とか、友達、になるまでになった。

だけど私が望んでいるのはそれ以上の関係である。


「.....だけどもう諦めないとね」


そんな事を呟きながら私は授業中、黒板を板書する。

だがその事を呟いた矢先の事。

私は衝撃的な事を恭三郎から聞いた。

それは。



「な、成瀬さんに浮気された.....って」

「.....正直お前に話して良いのかどうか分からなかったが。.....公園でイチャイチャしていてな。他の男と」


唖然というか愕然とする。

と同時に腹の奥が煮え繰り返りそうな感じがした。

私はその言葉を受けながら言葉が出ず。

屋上で2人で過ごしていたのだが。

4時限目の昼休みだ。


「でもどうあれ大切な友人のお前には話しておかないとって思ってな」

「.....」

「.....友美。言いたい事は分かる。それからお前の怒りも。だけど怒っても仕方がないんだ」

「怒るよ。それは。.....言いたい事が山ほどある」

「友美.....」


成瀬さ.....いや。

その。成瀬ってそんなのだったの?

最低すぎる.....。

私は考えながら激しい怒りに襲われる。

それからパンをグシャッと握り潰す。


「.....友美」

「絶対に許せない。.....私の大切な人を何だと思っているのか」

「気持ちは分からんでもない。でもブチギレても仕方がないと思う。ゴミクズは結局どこまで行ってもゴミクズだろうしな」

「それで良いの!?.....私は復讐しないと気が済まない」


私がどれだけ祈っても手が届かないのに。

運が無いのに。

思いながら私は冷静に怒りを溜める。

恭三郎は小さく、そうだな、とだけ答える。


私は怒りを溜めるのを中断してから小さく潰したパンを食べ始める。

ジャムの味が無くなってしまった。

怒り故に何も感じれない。


「.....何故そんなに怒ってくれるんだ?」

「当たり前でしょう!?.....私が.....」


そこまで言ってから私は歯を食いしばり沈黙する。

どれだけやっても勝てないのに。

勝てないのに。

なのにそんな事をするか。

思いながら私は怒りを覚えながらヤケクソ気味になる。


「.....とにかく落ち着け。卵焼き食うか?」

「.....食べる」

「そうだな。じゃあ食べて良いぞ。冷食だけど」

「味が無い方が嫌だし」


そして私は卵焼きを荒っぽく食べる。

それから私はパンを膝に乗せる。

そうしていると恭三郎が、もう疲れたんだよな。俺も大概。だから怒る事を忘れたんだ、と話してくる。

私はその言葉に、恭三郎.....、と見る。


「だから怒りたくなかった」

「.....そうだね。怒りを忘れるよね。普通はね」

「.....だけどその中でもお前には話しておかないとって思ったから」

「ありがとう。恭三郎。途中から知っていたら私は狂っていたかも」

「そうか」

「うん」


私はそう答えながら恭三郎を見る。

だけどそれでも怒りが収まらないのだが。

どうしたら良いのだろうか。

ポジションを奪った癖に。

生意気すぎる女には鉄槌を下さないと。


「ねえ。恭三郎。私は復讐した方が良いと思う」

「復讐って何をするんだ?犯罪者になりたくないし。それに嫌味に思われたくない。周りにな」

「私は絶対に復讐した方が良いと思う。.....許せない」

「.....友美?」

「私はどうしても許せない。ポジションを奪った奴の事が」

「ポジションを奪った?」

「意味が分からなくてもいいよ。とにかくポジションを奪ったんだよ成瀬は。だから絶対に許せないから復讐したい」


そう。

私の恭三郎に対する沢山の愛情だ。

そして成瀬への最後のプレゼントだ。

そんな事を考えながら私は前を見据える。


「.....考えておくよ。お前がそこまで言うなら」

「.....そうだね」


私は眉を顰める。

それから私は前を見ながらスポドレを一気に胃に流し込んでから。

そのままビニール袋をグシャッと潰す。

こんな状態で何もしないとかあり得ない。


プレゼントを渡さないと.....。

恋に敗れた女子がどれだけ恐ろしいか。

分からせてやらないと。

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