第3話 す、すけべ

☆中西恭三郎サイド☆


何か分からないが.....いや分かるか。

女子が重たそうに荷物を運んでいたので俺は一日一善の心が勝り声を掛けたのだが。

その相手が久城だった。


俺は驚きながら久城を見る。

久城も驚きながら俺を見ていた。

それから俺はその持っている荷物を運んであげてから。

そのまま俺は立ち去ろうとしたのだが。

その際に久城が声をかけてきた。


「一緒にお茶でも1杯どうですか」


その様に、だ。

俺は見開きながら考える。

それから喉が渇いていた事に気づき、じゃあ1杯だけ、とお茶を頂いた。

そして俺は促されて椅子に腰掛ける。

その目の前に久城が腰掛けた。


「.....」


改めて見ても本当に艶やかな金色の髪に。

スカイブルーの様な目。

本当に完璧な美少女だと思う。

正直言ってモデルでも子役でも何でもやれそうな感じだ。

俺はその顔に惹きつけられる様な感じを見せていると。


「.....どうしました?」


そう声を掛けられた。

俺は驚きながら、いや、と否定をする。

それから、すまない。君が美しいからつい、な、と本音を言いながらお茶を飲む。


すると彼女は目を丸くしながら、そうですか、と自嘲する様な感じを見せた。

俺は困惑しないのか、と思いながら、?、を浮かべる。

そうしていると彼女は、すいません。ちょっとは驚いています、と柔和な感じを見せながら俺を見てくる。


「.....ただ.....そんな事を言われたのは久々なので」

「.....ああ。そうだったのか」

「そうですね。.....私は正直、私自身が嫌いなので」

「.....?」


俺は、深い訳があるんだな、と思いながらそのまま何も言わずにお茶を飲む。

そうしているとカップが空になった。

その事に俺は、よっこらせ、と言いながら立ち上がる。

そしてゴミ箱に紙のそのコップを捨ててから久城を見る。

それから頭を下げた。


「有難うな。お茶。美味しかった」

「.....インスタントなのに?」

「いずれにせよお前が淹れたのは事実だ。.....だからお礼は言わないとな」

「.....」


目を丸くしながら反応する久城。

そして俺は、じゃあ教室に戻るな、と言いながら俺は手を挙げる。

それから頭をまた下げた時。

あの、と声がした。


「.....?」

「その。.....男の人っていうのは.....みんな.....」


そこまで言い掛けて久城は黙る。

それから、何でもないです、と言いつつそのまま久城は、私は仕事がありますのでちょっとしたら出ます、と笑みを浮かべた。

俺は、???、を浮かべながら、あ、ああ、と返事をする。


「じゃあ」

「.....はい」


そして俺は久城と別れてから。

そのまま教室に帰って来ると.....。

女子の中に紛れていた彼女が寄って来た。

長代友美(ながしろともみ)。


茶髪の地毛の短髪。

それから笑顔の絶えないムードメーカー。

爽やか系美少女である。


と同時に。

俺の友人である。

こんな真っ暗な俺に付き合ってくれる腐れ縁。


「やあやあ。また人助けでもしていたのかね」

「.....まあな。.....お前は遊んでいる様だが」

「うるさいね。これも仕事さ。.....友人とのお付き合いっていうね」

「確かにな」


そして友美は目の前の空き椅子に腰掛ける。

みっともない感じで股を広げながら。

おいおい。パンツが見えるぞ、とツッコミを入れたが。

スパッツでナスよ。問題ない、と答えてくる。

そういう問題か?


「お前も変わらずだな。本当に」

「私は変わらないタイプだからねぇ」

「まあそうだな。.....何の話をしていたんだ?」

「えー。それ聞いちゃう?.....まあ良いけど。えっとね。男との付き合いの話」

「.....成程な。恋の話か」

「そうだね。恋の話だ」


それから友美は笑顔になる。

八重歯が見えて俺は苦笑いを浮かべる。

やれやれ、と思いながら。

男勝りな点があるよな、とも思う。


「.....お前ちょっと女を目指せよ?」

「私は昔から女だけど?」

「お前は女とは言わん。.....お前の様な奴は男勝りの女児という」

「ひどい!!!!?」

「いやそうだろ。.....サッカーとかやっているしな」


おまけに日焼けまでしていて胸元も開けているし。

もはや女とは認識出来ない。

思いながら、それに制汗剤の匂いするし、と告げる。

すると、ふぁ?、と言ってからボッと赤面した。

え?


「.....ど、どんな匂い?」

「うーん。レモンとか?お前のイメージ」

「.....そ、そっか」

「.....???」


ちょっと訳がわからない。

今赤面した理由が、だ。

考えながら俺はナヨッとする友美を見る。

友美は、えっちだね君は、とモジモジしながら見てくる。

は!!!!?


「君は、に、匂いフェチ?」

「.....い、いや」

「.....すけべ」

「.....」


その一言で友美は去って行った。

何今の?そこだけ恥ずかしがるの?

意味が分からないんだが.....。

女子って。

というか何故今赤面した?

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