第14話 新しいクラスメイトです。

勉強会から少し経った日、いつものように教室へと入り驚く。あと数日で夏休みが始まるその喜びの熱気かと思ったのだがどうやら違うらしい。


「ね!今日でしょ!」


「そーそー転校生ね!」


「どんな人なのかなー?」


話し声に聞き耳を立てる必要もないほど答えが飛び交う。

夏休み前のこの時期に転校生。どうやら親の都合で入学式に間に合わず、転校生という形でこのクラスに入ることになったらしい。


(というよりも何処でそんな情報拾ってきてるんだ…?)


クラスの情報通は侮れないものだ。


「なな、じんたん。転校生だって女子かな?」


「どっちだろうね〜」


「なんだよ興味ないのか?あ、そりゃそうか。じんたんには藤咲さんがいるもんな」ニヨニヨ


「今の話でどっから由ちゃんひっぱりだしてきたの!?」


本当にこういうちょっかいをやめてもらいたいものだ。それとそのニヨニヨ顔をやめなさい。


「転校生は男らしいよ」


「おぉ!?」


「…びっくり」


後ろからひょこっと顔を見せたのは隣のクラスに居るはずのカトちゃん。その現れ方やめません?心臓に悪いよ?


「てかなんで知ってんだよ加藤」


「そりゃだって情報通ですからーこのクラスにその話流したの私だし」


「カトちゃんパネェっスわ」


情報通の所在が分かり一安心、と言いたいけど油断はできない。あいつが居る限り安心なんてできない。


難しい顔をしている仁太。それに気づくが何もしてやれないもどかしい気持ち。2人にはそれがあった。


「ねぇある程度予想ついてるけど聞く?」ヒソッ


「いや、じんたんが言ってくれるまで待つつもり…でもモヤモヤしないって言ったら嘘になる」ヒソッ


仁太に気づかれないように2人は話す。普通に話しても今考え事をしてる仁太には聞こえそうにもないが。


予鈴が鳴り、カトちゃんはそそくさと自分のクラスへ帰って行った。

ホームルームの時間。先生の後ろを転校生らしき人物が教室へと入ってくる。それと同時に転校生の姿を見たクラスの女子たちは沸き始める。


「イケメンじゃん!!」


「か、かっこいい…」


それもその筈。男の俺から見ても整った外見をしていた。身長も高く目測だが175後半と言ったところか。


「ども、野々鳴海(ののなるみ)です。これからよろしく」


簡単な挨拶の後、いつもの先生の話を聞いたのだが、話題をほぼ転校生くんに奪われ先生は元気をなくした。ドヨンとした背中を静かに見送る。


転校生くんの席はアニメやゲームの世界では大体後ろの席なのだが、前の方になった。どうやら交流を深めたいという本人の意思で前の席になったらしい。


放課後。この1日で彼はあっという間にクラスに溶け込んだ。


「すげぇーな」


「ねぇ〜コミュ力お化けとはよく言ったものだよ。由ちゃんとも仲良いしさ」


転校生くんの隣の席は由ちゃん。必然的に距離も近くなる。一番最初に仲良くなってた。


「お、嫉妬か?」


「別に〜由ちゃんが友達と仲良くなるのはいい事じゃん」

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