第3話 五歳になるまで
軽ーいチート。
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俺は明日、五歳の誕生日を迎える。
こちらの世界に転生してきて早五年。俺はこの五年間、様々なことをしてきた。まず、この世界についての勉強だ。俺、というよりか、レグシェル家には専属家庭教師がおり、2人の兄様もその人に座学を教えてもらったそうだ。
レグシェル家の家庭教師は、優しそうで執事みたいな先生だった。名前はメイス・リュード。リュード子爵家の前当主だそうだ。
メイス先生は俺が疑問を持つと、それにすぐに答えてくれて、おかげでこの世界について、とても詳しく知れた。
創造神ディオバルト様によって創造されたこの世界は、大きく分けて五つの大陸に分けられている。
俺達人族の住む中央大陸・亜人族の住む西大陸・獣人族の住む南大陸・精霊族の住む北大陸・魔族の住む東大陸の五つだ。
種族間の仲は決して悪くなく、むしろ交流は定期的に行われており、良好だ。
俺たちが中央大陸にいる理由は、単純に交通の便などが一番発展しているからだ。
レグシェル家は中央大陸の中でも一番発展している国、ディリクトリーの伯爵貴族で、王都ディシディアの西側に隣接する領地を持っている。
ディリクトリーには身分制度があり、上から王族・公爵・侯爵・伯爵・子爵・男爵・騎士爵だ。
大きな功績を挙げると、爵位が上がったり、平民でも騎士爵を叙爵されたりする。だが、騎士爵は一代限りなので、生きている間に爵位を男爵以上に上げないと、また平民に戻ってしまう。身分についてはこんなところか。
中央大陸には他にも国はあるので、いつか行ってみたい。
ここで、俺の家族を紹介しておこう。
俺の父、現レグシェル伯爵家当主のギーゼレイス・フォン・レグシェル。貴族は当主になると名前と家名の間にフォンが入るそうだ。愛妻家で家族大好きなダンディーイケメン。詳しくは知らないが、当主になる前は冒険者の中では有名で、ブイブイ言わせてたそうだ。ちなみに父様と母様、もう35歳超えてるそうだ。見えねぇ…
俺の母、現レグシェル伯爵夫人リリアナ・レグシェル。普段は温厚だけどキレると...あ、思い出すだけで寒気が…
俺はマザコンではないが、母様は絶世の美女だと思う。俺は決してマザコンではないが。
今はそんな風には見えないが、母様も父様と同じく、冒険者としてブイブイ言わせていて、父様と出会ったらしい。
何ともアグレッシブな両親…
俺の兄、レグシェル伯爵家嫡子のローティクス・レグシェル、18歳。母様と同じ銀髪紫目で、イケメン。きりっとしててかっこいい顔つきをしている。この世界での成人は20歳なので、後二年で成人し、さらにその数年後には伯爵家当主となることが決まっているため、次期当主になるための教育を受けている。おとーと大好き!なブラコンだ。
俺のもう一人の兄、レグシェル伯爵家次男のシェービス・レグシェル、10歳。父様と同じ金髪碧眼で、かわいい顔をしている。こちらは、最近ブラコンの才能(?)が開花してきた。ビス兄様は、将来ロー兄様の補佐をすることになっている。今年、王都にある魔法や剣術を学ぶための学校に入学する。
学校についてはまた別の機会に…
そして俺、レグシェル伯爵家三男のアリオスト・レグシェル、4歳。明日5歳になる。父様と母様から髪と目の色を受け継いだ俺は、銀髪碧眼で幼いが将来ロー兄様みたいなイケメンになりそうな顔をしている。
この世界では、5歳になると何やら魔力測定なるものがあるそうで、明日の朝、領内の教会で行うことになっている。楽しみだ。
なぜかって?そりゃあもちろん、魔法は異世界好きの夢だからな。だがそれだけではない。
おれはずっと、家族のみんなにばれないよう細心の注意を払いつつ、あることをしていたのだ。それが何か…
もちろん、魔法の練習だっ!!!
~時は遡る~
この世界に魔法があることは、使用人が使っているのを見ていたので知っていた。
見ている感じ、魔法は誰にでも使えるようであった。
そして、魔法を見た俺は、すぐにやってみようと思った。思ったが、赤ちゃんが魔法を操ってるってどうなんだ?と思い、やめた。なんなら、多分まだ使えないだろうという結論に至った。残念だけど。
魔法のことなんも知らないし、魔力がどんなのかもまだ知らない。どうしようかなぁ…と思った俺は、漫画を参考にすることにした。よくあるのが、体の中にある熱を見つける、というやつ。
熱、熱…。お、これか?
俺はすぐに体の中で燻っていた魔力と思しき熱を見つけた。
そうして見つけた魔力をどう動かそうか考えていた俺は、魔力の熱がちょうど心臓のあたりにある事に気づいたので、血液のように体を巡るイメージで動かせばいいんじゃないかという考えに行き着いた。
てな感じで実践してみた。できた。
え、マジでなんでこんなうまくいくんだ?
俺もしかしないでも魔法の才能あんのかな?え、めっちゃうれしいんだけど!
魔力を動かせるようになったからには何か魔法を使ってみたい。そう思った俺は、あれをやってみることにした。
異世界ものでは必ずと言ってもいいほど見るあれ。そう、身体強化だ。
それなら魔力をうまく動かす練習にもなるだろうと思ったし、危険もそこまでないからな。あわよくば歩き回ったりできるようにならないかなーと思って。
俺はまず、脚全体に身体強化を施してみた。脚に魔力を持っていく…むむむ…
あ、きたかもこれ。バタバタバタ。お~。なんか動かしやすくなってる。
次は手と腕だな。さっきと同じ感じで魔力を…よし、これでいいかな?
手をグッパッグッパ。腕をブンブン。
おお~!すげぇ!
次は…全部に一緒に魔力を…よし、おっけー。この状態で…よいしょっと。
よっしゃ!立てた!っとと。危ね、コケるとこだった。
…歩けるかな?
身体強化をした状態で足を踏み出してみると、やはりというべきか、この体にはまだ慣れていないため、少し違和感があったが、歩くことができた。
うひゃー目線低っ!なんか楽しい…
そんなことをしていたら、急にふらふらしてきて、俺の意識は暗転した。
次に目が覚めたのは、その日の夜で、俺は初めて魔力切れを起こしたのだった。
これが魔力切れ…なんか気持ちわりぃ…
でもすげえ、これが魔法か…!ほんとに俺異世界に来たんだなぁ...
よし、せっかくできるようになったんだ。これから暇なときは身体強化の練習をすることにしよう。
その日から俺は、身体強化の練習をし続けた。1日中身体強化をしていても魔力切れを起こさないほど身体強化を使うのがうまくなった俺は、掌の上に炎を生み出したり、それをほかの属性にありそうなやつ(水とか光とか)でやってみたりと、比較的危険度の低そうな魔法を試したりしていた。
これまた一瞬でできた。掌に魔力を集めて、それが生み出したいものに変化していくのをイメージするとできたのだ。流石に何かを生み出すようなまねはできなかったが。
なんなら身体強化を始めてやった時よりも簡単にできた。魔力の操作に慣れたからだろうか。
そこで俺が考えたのは、魔法の属性についてだ。
俺はイメージすることで魔法を使っていたが、実際はどうなんだろうと。
俺がやってみたのは炎と水、光の3つだ。ほかにも氷や風なども思いつきはしたが、氷はちょっと危ないと思ったし、風は出力を間違えたらと思うと…手は出せなかった。
なので、母様に聞いてみることにした。
「母様母様。魔法には属性というものがあるのですか?」
「あら、気になるの?まだ小さいのに、アーリーは勉強熱心ね」
「はい!教えてくださいませんか?」
「いいわよ。まず、魔法はわかるわね?」
「はい。使用人たちがよく使っているものですよね?花の水やりとか、洗濯するときとか」
「そうね、あれらも魔法だわ。魔法には大きく分けて6つの属性があるわ。炎・水・風・土・光・闇の6つね。人はだれしも、最低一つは属性を持っているわ。他にも、無属性魔法と呼ばれる属性の適性の有無に関係なく、練習すればだれでも使える魔法や、使用人が使っていたような生活魔法と呼ばれるものもあるわ。こちらも属性は関係ないわね。後はそうね…稀に氷魔法や雷魔法などの、特殊属性と呼ばれるものを持っている人もいるわね」
ふむ、俺が試した奴は全部あるな。
「へぇ、たくさんあるのですね!ちなみに母様の適性のある属性は何なのですか?」
「私の適性?炎・風・土・光の4つよ。その中でも土がいちばん得意ね」
「母様は4つですか。それは平均的な数なのですか?」
「いいえ?これでも母様魔法は得意で、学生時代も優秀な成績を収めていたのよ?そもそも属性を複数持っているのは、それだけでもすごいことなんだから!あなたも5歳になったら適性のある魔法属性がわかるわ。今から楽しみね」
「僕の適性…はい!楽しみです!」
とかなんとか言いつつ、俺が使える属性が多すぎる気がして、内心冷や汗をかいていたのだった。
(俺ってこの世界でだいぶ異質なんじゃないか!?だって、すでにいろいろできちゃってるよ!?)
そう思った俺は、少し自重しようと思った。
~そして現在~
そんなことを思っていた時期が俺にもあったよ…でもさぁ...せっかく魔法使えるようになったってのに自重すんのもばからしくない?なので思いっきりやりました。
ギリばれてないけど多分時間の問題。魔力測定どうなっちゃうんだろう…
―――――――――――――――――
作者です。
時系列わかりにくくてすんません…
5歳の誕生日の前日→過去(魔法の練習)→誕生日の前日です。
世界についての話(大陸等)は一応回想ではないです。
今回のチート要素は軽めでしたが、次回はしっかりチート感出ます。
次回:なん...だと?
またお会いしましょう。ではでは~
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