リース帝国からの使者

数日が経った。アルスはいつも通り外務庁に出勤していた。

サーナス学院の件はしばらくの間各責任者が動いてくれるため、他の仕事に動ける。


そう思っていた矢先に王城からの知らせをイーナが知らせに来た。


「アルス大臣、宰相より王城に来るようにとれ連絡がありました。」



「宰相からの呼び出しか…またなにかありそうだな…」


少しやきもきしながら外務庁を出た。


馬車に乗り、王城へ向かうと王城の方へ長い列ができていた。よくよく見るとリース帝国の旗を掲げた騎兵団であった。


「わ、これで呼んだのか…」


アルスは呼ばれた理由を理解した。

王城の正門からは入城できないと判断したアルスは別の通用門から王城に入城した。


アルスが通用門から入ってくることをわかっていたのか宰相が待っていた。


「宰相、お待たせしました。」


「いえいえ、大丈夫です。呼んだ理由は当然お分かりですね?」


宰相はにこにこした顔で聞いてくる。


「どうやらリース帝国の誰かがお越しになっているのですね…」


「はい、その通りです。外務大臣の出番ですよ。」


「はい…ところで誰が?」


「今日はリース帝国ナーク宰相殿です。」


「ナーク宰相が!?」


訪ねてきたのは以前リース帝国に訪れた際にも会ったナーク宰相であった。


「どうしてナーク宰相が?」


「今回の訪問はマリアナ王国とリース帝国の間での協定の協議にいらっしゃいました。」


「協定ですか…」


どうやらマリアナ王国とリース帝国の間で宰相同士で以前から話し合いをしていたようた。


「一体、協定内容はどんなものなのですか?」


「そうですね、外務大臣であるアルス殿には話しておかなければなりませんね。本来、魔法大臣に担当して頂きたい案件ではあったのですが、魔法大臣はあいにく他国に外遊中でアルス外務大臣に来て頂きました。その内容ですが、リース帝国の魔法技術を習得した技術者をにマリアナ王国に派遣いただけることとなりました。それに対して、マリアナ王国からは提供いただいた魔法技術を元に開発したもの、例を挙げれば鉄道を輸出します。このような内容となっています。」


「ついにマリアナ王国も魔法先進国を目指すのですね!」


「そうなります。アルス殿が考案された魔導自転車や鉄道はこのマリアナ王国に大きく寄与しています。それもアルス外務大臣が連れ帰ってきたナット殿の存在も大きいと国王陛下は判断されました。」


「なるほど…では今回の協定が上手く行けば更に色々なことが出来そうですね…」


「おや、アルス大臣既に何か考えているようですね…」


宰相はアルスの表情を見て考えていることを察したのだろう。


「では、アルス外務大臣応接室に行きましょう。」


「はい、宰相!」


アルスは宰相と共にいつもの応接室へと向かった。

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