学校長

国鉄を利用してアルスはサルサに到着した。

駅を出ると迎えの馬車が既に待機、急いで乗り込み屋敷へと戻った。


屋敷に戻ると既にシリルとアンナが来ていた。

アルスはそのまま応接室へと向かった。


「アルス様!お久しぶりです!」


応接室に入るとシリルに出迎えられた。


「シリルさん、ほんとに久しぶりですね。お元気でしたか?」


「はい!この通り。アルス様のおかげでユース商会もかなり景気がいいです。本当にありがとうございます。」


シリルは満面の笑みだ。

ユース商会には焼きそばの販売をしてもらっている。

焼きそばもこの国では定番の料理となった。

これもユース商会の力のおかげもある。

アルスもユース商会に販売をしてもらっていることで利益を得ることが出来ており私財が増えてきていてありがたい。


「アルス様!私ともお話を!」


シリルとだけ話していたからか嫉妬したアンナが話を遮ってきた。


「アンナさんも久しぶりです。久しぶりに会うからか一段とお綺麗になられましたね!」


「えっ!うそ!」


アンナはとても恥ずかしがる。その表情はとても美しい。


「アルス様のご活躍ぶりは聞いております。外務大臣に商務大臣、更には国鉄とほんとに素晴らしいです。ユース商会としては国鉄の貨物列車のおかげで利益もかなり増えました!」


シリルはとても嬉しそうに話してくれる。

アルスとしても経済がかなりよくまわっていると感じた。


その後もしばらく2人と話をした。

今日の訪問の目的は感謝を伝えるのが目的だったようだ。


ある程度話が落ち着いてきたところでアルスはアンナに声をかける。


「アンナさん、実はアンナさんにお願いがあるのです。」


「私にお願いですか?なんでしょう?」


「実は今サーナス侯爵家と教育庁で新たな教育機関であるサーナス学院を設立することになりました。」


「アルス様はついに教育界に挑戦をされるんですね!凄いです…」


アンナは尊敬の目でアルスを見てくる。


「このサーナス学院は運営をサーナス学園が担います。実は僕はそこの理事長をしています。ちょうどいま開校に向けて動いていて、生徒募集に向けて動き出したいと思っています。」



ここでシリルが口を開いた。


「なるほど、ユース商会に生徒募集の協力をということですか?」



「はい、そういうことになります。生徒がいないと始まらないので。ちなみにサーナス学院は王立学園に入学するための学力をつける学校になります。また、この学校は無償で通うことが出来ます。」


「えっ、そんな学校が…」


シリルは驚いた。やはり教育を無償で受けられることに衝撃を受けたのだろう。


「シリルさん、生徒募集にユース商会として協力をいただけないでしょうか?」


「アルス様には日頃からお世話になっています。ここで恩返しをしなければユース商会の恥です。ユース商会の組織力を活かして協力させていただきます。」


「ありがとうございます!」


シリルが承諾してくれたことで、無事生徒募集の方も動き出すことになった。


「アルス様、そういえばアンナにお願いがあるのでは?」


「そうでした!」


シリルとの話で後回しになってしまった。


「アンナさん、サーナス学院の校長になってくれませんか?」


「えっ!私が…校長ですか!?」


アンナは当然びっくりした。


「アンナさんに校長に就任していただいて、生徒募集活動の責任者をして頂きたいと思ってまして…校長ですから当然学校の運営にも…」


「あのアルス様に…お願いされてる……分かりました!!やります!やらせてください!!」


アンナは泣きながら承諾してくれた。憧れのアルスにお願いされたのが嬉しかったのだろう。


「ありがとうございます!アンナさんは独自のブランドを経営しています。当然上に立つ者としての力を備えていると思います。よろしくお願いしますね!」



こうしてアンナがサーナス学院の校長に就任することとなった。

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