ターナ侯爵の秘密
アルスが大臣室に入ると教育大臣でアルスの祖父であるターナ侯爵が出迎えてくれた。
「初めて会うね、そなたの祖父でもあるリッツ・フォン・ターナである。ルナに似てとても綺麗な顔つきだ。」
ターナ侯爵は優しく語りかける。
「おじい様、お初にお目にかかります。サノス・フォン・サーナス侯爵の嫡男アルスです。伯爵位を頂き、外務大臣、商務大臣を務めています。」
アルスは丁寧に挨拶をする。
その様子を見てターナ侯爵はとても嬉しそうである。
「ようやくそなたの顔を見ることが出来た。色々と活躍ぶりは聞いてるよ。そなたは孫であるからぜひ会ってみたいとずっと思っていた。訳あってサーナス家とは疎遠になっていてやっとだ。。」
「なぜなんですか?僕はおじい様の存在を知りませんでした…」
「それはそなたの母であるルナとの間で揉めたことが原因である。」
どうやら過去に何かしら問題が起きていたようだ。
アルスはターナ侯爵に詳しく話を聞く。
「一体何があったのですか?」
「…まぁいつまでも隠しておくのも良くは無い。そろそろ私自身、ルナにも謝罪しようと考えていたところだ。」
そういうとターナ侯爵は詳しく話し始めた。
「実はそなたが産まれる少し前、ルナが当時まだターナ家にいる時の話である。当時の私はルナは王族あるいは公爵家に嫁に出そうと思っていたのだよ。しかしルナはサーナス侯爵家の当時は次期侯爵であったサノス殿のことを好いていてね。それで喧嘩をしたわけだよ。ルナはそれにより家を飛び出してしまった。そして今に至るのだ…」
「そんな過去が…」
アルスは驚いた。
「おじい様は教育大臣、父サノスは法務大臣です。顔を合わせることもあるのでは?」
「うむ、実はここが少し特殊でな。私とそなたの父であるサーナス侯爵とは仲が良いのだ。」
「えっ!なんですかそれ…」
「驚くのも無理は無い。当時は正直顔も見ないし口も聞かなかった。しかし、そなたが生まれた時に私に報告に来てくれたのだよ。その時はほんとに嬉しかった。そんなこともあり、サーナス侯爵とは陰で親しくさせてもらってる。」
「なるほど…ですが母様とはいまだに…」
「そうだ。私からサーナス侯爵にはルナに言わないようにお願いしているのだよ。私をいまだに嫌っているだろうし…」
「そうなのですね。会いたいとは思いませんか?」
アルスは素直に聞いてみた。娘に会いたくないのかと。
「……それは当然親であるから娘には会いたいと思っているよ。」
「ではおじい様!この後一緒に屋敷に来てください。母様も王都にいますから!」
「あっ、今からか!?」
「はい、善は急げです!」
そういうとアルスはターナ侯爵の手を引っ張って教育庁を後にした。
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