モチベーションに左右されない
「あなたはモチベーションに左右されるタイプですか?」と問われたら、どう答えるだろうか。この問いを、気分の上がり下がりがある、と受け取れば、イエスと答えてもなにも不思議はない。誰しも、気分がいいときもあればそうでないときもある。
では、もしこう問われたら、なんて答えるだろうか。
「あなたはモチベーションに左右され、仕事の質に影響するタイプですか?」
正直に、あるいは開き直ってイエスと答えてもいい。自分は、モチベーションが高いときはよい仕事をするが、低いときは質のよくない仕事をする、と答えるのだ。
ここで考えてみてほしいことがある。モチベーションの高低にかかわらず、仕事のできは否応なく製品に反映される。質のよくない仕事によって生み出された製品を、はたしてあなたは購入したいと思うだろうか。低品質な品質管理を経て発売された製品だ。自分が開発に携わっていたら、きっと買わないだろう。製品の質が低いと知っているからだ。
では、そうとはまったく知らないお客さまはどうか。製品にふれるまで、質の高い低いを知るすべはない。そして、製品の品質を知ったときは、すでにお金も時間も、あるていど消費したあとである。とても残念に思うだろう。悔しい思いをし、強い感情は怒りに変わるかもしれない。それだけ、製品にふれる日を楽しみにしていたのだ。
気分が上がり下がりするのは構わない。その日にあったうれしい出来事で気分が高揚するかもしれないし、そのあとですぐさまつらい目に遭ってひどく落ち込むかもしれない。人生における変化とは、一分一秒すら同じ状態を保ち続けるのは難しいのだ。
気持ちが浮き沈みするのに問題などない。だが、それが仕事のできを左右し、お客さまの気持ちにまで影響するとなると話はまったく異なる。あなたのする仕事には、なおさなければならない問題がある。お客さまが向き合うのは製品だ。あなた個人ではない。
意欲にあふれる開発者は、すばらしい製品を作り出すだろう。しかし、それでも不具合はなくならない。そんなとき、品質管理がモチベーションしだいで仕事の質を左右しているようでは困ってしまう。気持ちは切り替えられなくてもいい。肝心なのは、心身がどのような状況にあっても、仕事の質を一定水準に保つことである。製品にさわれる日を楽しみにしているお客さまを思えば、そんなに難しくはないはずだ。仕事をはなれれば、あなただってひとりのお客さまなのだから。あなたがお客さまとして「こうあってほしい」仕事をする、それだけである。
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