エピローグ
――百年後。
ルメジャンでは、とある話が親から子へ、そして孫へと語り継がれていた。
「この国の近くに、海が望める小高い丘があってね。そこには、数十年前まではお墓はひとつだったの。でもね、今はずっとあった大きなお墓と、少し小さなお墓があるの」
「なんでー?」
「先に死んじゃった愛する人のお墓をずっと守り続けていた墓守さんが、ママが産まれてすぐくらいに死んじゃったから、その時にお墓を置いたのよ」
「はかもりさん?」
「そう。お墓に何も起こらないように、見守っている人のこと」
「ながいき、したんだねー!」
「それはそれは長生きしたわね。……彼女は竜だったから」
「どらごんさん! なでぃーもすき!」
「元々あった大きなお墓の傍で丸まって死んでいたって言われているわ」
「そっかぁ……すきだったんだー」
「種族が違っても、永く愛し合えることを彼らが証明してくれた。だから、その丘は、恋人にとってちょっとした聖地になっているのよ」
「せいち?」
「んー……そうね、そこに行くと幸せになれる場所、かな?」
「なでぃーのせいちはねー、こうえん!」
「ふふ。たしかにそうね。……その丘の名前はね、トテア丘って言うの。清く澄んだって意味なのよ」
「とてあ?」
「そう。大きなお墓の中の人――ヘラルドさんって人が、竜の彼女をイメージしてつけたの。お友達にお手紙を渡して、そうしてくれって頼んでいたんだって」
「? よくわかんないけど、なでぃーも、とてあ、いってみたい!」
「それなら、今度一緒に行こうね。もちろん、……パパも一緒に」
「うん! パパもいっしょ! ね、パパ!」
少女は、棚の上に飾ってあった、少女の父親と思われる男性が描かれた小さな絵画に、にっこりと笑いかけた。
◆◆◆
これにて完結です。
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竜に転生したわたしと伯爵令息様が幸せになるまでのお話~伯爵令息様は竜がお好きなようです~ 青青蒼 @ao3_s
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